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関節リウマチの画像診断の進歩 【関節エコーで滑膜炎,MRIではさらに骨炎の検出が可能に】

No.4783 (2015年12月26日発行) P.49

池田 啓 (千葉大学アレルギー・臨床免疫学診療講師)

中島裕史 (千葉大学アレルギー・臨床免疫学教授)

登録日: 2015-12-26

最終更新日: 2016-10-26

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近年,関節リウマチ(RA)における早期診断・早期治療,ならびに積極的治療によるタイトコントロールの重要性が広く認識されるようになった。画像診断は,RAの早期診断およびタイトコントロールを補助するツールとして注目され,その活用が推奨されている(文献1)。特に,関節超音波検査(関節エコー)やMRIによる炎症の評価は,従来の単純X線にはなかった概念であり,RA画像診断にパラダイムシフトをもたらしたと言える。
関節エコーでは,滑膜炎が無エコーの滑液貯留,または低エコーの滑膜肥厚として描出される。また,炎症の活動性を,滑膜新生血管を反映するドップラーシグナルを評価することで決定できる。滑膜炎はRAの特徴的な病態であり,関節エコーによる客観的な滑膜炎の評価は,RAの診断および疾患活動性評価の精度を向上させる。
一方,MRIは骨病変評価に強く,高感度に骨びらんを検出可能である。さらにMRIは滑膜炎に加え,骨髄の炎症(骨炎)を検出できる。MRI上の骨炎は,骨びらん進行の強い予測因子であり,滑膜炎・骨びらんの病態生理における新しい考察をもたらした。
また,関節エコーやMRIによる炎症および関節破壊の描出は,患者および医師の教育,さらには患者─医師コミュニケーション手段としても有用である。適切な画像診断の活用により,多角的にリウマチ診療の質が向上することが期待される。

【文献】


1) Colebatch AN, et al:Ann Rheum Dis. 2013;72(6):804-14.

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