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経肺稀釈法による非侵襲的循環モニター

No.4767 (2015年09月05日発行) P.55

三島史朗 (東京医科大学救急・災害医学教授)

登録日: 2015-09-05

最終更新日: 2016-10-26

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かつて「集中治療とは肺動脈カテーテルを挿入することである」と言われた。肺動脈カテーテルは稀釈法により心拍出量を測定し,肺動脈楔入圧で左心前負荷の指標を提供する。しかし心臓内にカテーテルを入れる侵襲性に反して,予後改善に寄与するエビデンスが集積せず,今日では用いられる機会が少なくなった。代わって隆盛を誇るのが非侵襲的循環モニターであり,その代表が経肺稀釈法である。これは,中心静脈から指示薬(冷却水)を注入し,左右の心腔内と肺内を通過後に,大腿動脈や上腕動脈で稀釈時間を測定して,心拍出量を算出する。
次に,稀釈による指示薬の減衰曲線の違いから,心腔内と肺内の通過時間を区別することができる。それぞれに心拍出量を乗じると,両心拡張終期容量と肺内水分量がわかる。さらに,各心室・心房から駆出される血液量は互いに等しいと仮定し,「1回拍出量×4÷両心拡張終期容量」を全心駆出率と命名した。これは左室駆出率と相関して,心収縮力の指標となる。
さて,肺内血液量の測定には二重指示薬稀釈法が必要であるが,これは健常者では両心拡張終期容量に相関する。そこで,回帰式を作成して肺内血液量を算出し,肺内水分量から肺内血液量を減じて肺血管外水分量とした。これが増えれば肺水腫である。両心拡張終期容量は前負荷の指標であることから,肺水腫の患者で,両心拡張終期容量が高ければ心不全,高くなければ急性肺障害であると鑑別できる。経肺稀釈法を用いた非侵襲的循環モニターは危険性が低くかつ簡便で,肺の体液管理を容易にした。しかし,これが予後の改善に寄与するか否かは今後の課題である。

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