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デング熱

No.4756 (2015年06月20日発行) P.51

藤田次郎 (琉球大学感染症・呼吸器・消化器内科 (第一内科)教授)

登録日: 2015-06-20

最終更新日: 2016-10-26

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デング熱はアジア,中東,アフリカ,中南米,オセアニアで流行しており,年間1億人近くの患者が発生していると推定される。特に近年では,東南アジアや中南米における増加が顕著であり,こうした流行地域において日本人渡航者が感染するケースも多い。また2013年8月,日本に滞在したドイツ人旅行者が帰国後にデング熱を発症しており,日本国内での感染が疑われていた。さらに2014年8月には,海外渡航歴のないデング熱症例が国内において多数確認された。
デング熱は蚊を介して感染するもので,ヒト―ヒト感染はない。蚊に刺されてから3~7日程度で高熱のほか,頭痛,目の痛み,関節痛などの症状がみられれば,デング熱の可能性がある。また初感染の際は,重症化することは稀である。
2014年10月31日時点における,国内での患者数は160人であり, 感染したと考えられる場所は,代々木公園周辺(128人),または新宿中央公園(11人)などが目立っている。なお,2014年10月7日以降には新規患者の報告は認められていない。
過去の記録をみると,1942年夏に沖縄,長崎,神戸,大阪などで流行が認められ,患者数は2万7497人であった。また,1943年夏に東京,長崎(約3万人),大阪,神戸,呉および福岡(45人)でデング熱が流行している。さらに1944年には,大阪,長崎で大流行があり,呉,福岡,熊本でデング熱の小流行を認めている。ちなみに,沖縄県では1955年6~7月に八重山諸島でデング熱が発生(4人)し,それ以降の発生報告は認められていない。

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