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エボラ出血熱

No.4737 (2015年02月07日発行) P.51

藤田次郎 (琉球大学感染症・呼吸器・消化器内科 (第一内科)教授)

登録日: 2015-02-07

最終更新日: 2016-10-26

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エボラ出血熱はエボラウイルスによる急性熱性疾患であり,ラッサ熱,マールブルグ病,クリミア・コンゴ出血熱とともに,ウイルス性出血熱(vi-ral hemorrhagic fever:VHF)の一疾患である。近年では,必ずしも出血症状を伴うわけではないことなどから,エボラウイルス病(Ebola virus disease:EVD)と呼称される。
世界保健機関(WHO)の報告によると,2015年2月3日現在,EVD(疑い例を含む)の累計患者数は,総数で2万2444例,うち死亡例は8959例である。国別には,ギニアで2975例(死亡1944例),リベリアで8729例(死亡3739例),シエラレオネで1万740例(死亡3276例),ナイジェリアで20例(死亡8例)などである(文献1)。ギニア,リベリア,シエラレオネでは,引き続きEVD患者の増加と地域的拡大が報告されており,これらの国への21日以内の渡航歴のある者については,入国後には検疫所による健康監視の対象となる。また,上記の疑似症患者については,検疫所と都道府県などが連携の上,特定または第一種感染症指定医療機関に移送する。
2014年3月24日に,抗インフルエンザ薬として日本国内で製造販売承認を取得したファビピラビル(アビガンR,富山化学が開発)がEVDに有効である可能性が示唆されている。
また「もし流行国に渡航し帰国した後,1か月程度の間に発熱した場合には,万一の場合を疑い,地域の医療機関を受診することは控えていただき,まず,保健所に連絡をし,その指示に従ってください」という内容を掲示しておく。

【文献】


1) WHO. [http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/14
8237/2/roadmapsitrep_14Jan2015_eng.pdf~?ua=1]

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