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認知症診療高齢者の急増

No.4698 (2014年05月10日発行) P.60

入谷 敦 (金沢医科大学高齢医学科教授)

森本茂人 (金沢医科大学高齢医学科教授)

登録日: 2014-05-10

最終更新日: 2016-10-26

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2013年6月に厚生労働省長寿科学研究(朝田班)において,認知症高齢者の心理検査を含む厳密な調査が日本各地のモデル地区で行われ,高齢者の15%,推計462万人が認知症に罹患していることが報告された(文献1)。軽度認知機能障害(MCI)も14%,推計400万人以上に上ることが明らかとなり,また年齢による有病率は85歳以上で1/3以上,95歳以上では8割以上に上り,長生きをすれば誰もが認知症になるリスクが存在することが明らかとなった。今後,診断困難な例には地域で行える簡易スクリーニング方法(DASC-20)が採用され,ケアプランテキストの整備とともにモデル事業が開始される予定である。
認知症予防の観点からは,幼少時から生涯にわたる知的活動が高い場合,晩年の認知機能低下が遅いという,後方視的縦断病理学的研究が発表されている(文献2)。これは年齢,性,老人斑,神経原線維変化,ラクナ梗塞,レビー小体で補正した結果であり,同一程度の病理的背景では「知的予備能」を高めることで認知症発症を遅らせることが可能であるという報告である。
認知症の中核症状とBPSDのそれぞれに有効な短期集中リハビリテーション(文献3)を介入させることで,早期の在宅への退院を促す方向性が,2014年度の診療報酬改定にも盛り込まれた。

【文献】


1) 朝田 隆:臨神経. 2012;52(11):962-4.
2) Wilson RS, et al: Neurology. 2013;81(4):314-21.
3) Toba K, et al: Geriatr Gerontol Int. 2014;14(1): 206-11.

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