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医学部の明暗を分ける?2023年問題─日本医学教育評価機構が発足 【まとめてみました】

No.4773 (2015年10月17日発行) P.12

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-10

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  • 図 2023年以降のイメージ

    全国医学部長病院長会議は、医学教育の認証・評価を行う第三者機関として「日本医学教育評価機構(Japan Accreditation Council for Medical Education:JACME)」を年内に立ち上げる。医学部のいわゆる「2023年問題」に対応する必要が生じたことが発足の契機だ。

    2023年問題は、米国とカナダ以外の医学部卒業生が米国での臨床研修を行う許可を与えるECFMG(Educational Commission for Foreign Medical Graduates)が2010年、「国際基準で認証・評価を受けていない医学部の卒業生には2023年以降はECFMGの申請資格を与えない」と通告したことに端を発する。これまでは日本の医学部卒業生であれば誰でもECFMGに申請し、米国の医師国家試験を受験することが可能だった。

    「目的は医学教育の質向上」

    通告の背景には、米国で他国の医学部出身者が増加し続けていることへの危機感がある。ECFMGの求める「国際基準での評価・認証」とは、①政府や全医学部が公認した組織が認証・評価を行うこと、②世界保健機関の下部組織である世界医学教育連盟や、米国の医学教育評価組織LCME(Liaison Committee on Medical Education)の国際基準に準拠した評価基準を用いること―の2点。日本医学教育評価機構は国際的な評価組織となるべく、2016年度中に世界医学教育連盟から認定を受ける見込みだ。

    近年、日本の医学部卒業生でECFMGに申請する人数は毎年80人程度と、1学年の1%未満に過ぎない。全国医学部長病院長会議の「医学教育の質保証検討委員会」委員長として、日本医学教育評価機構の設立に向けた準備を進める奈良信雄氏は、それでも医学教育の認証・評価制度を導入する理由を「優れた医師を育成するため」と強調する。

    「ECFMGへの対応はあくまできっかけに過ぎず、これを機に日本の医学教育の質をよりいっそう高めることが我々の目的です」

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