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歯科治療用青色光・レーザーによる眼障害の可能性と防止策

No.4759 (2015年07月11日発行) P.65

西 智 (奈良県立医科大学眼科学教室)

緒方奈保子 (奈良県立医科大学眼科学教室教授)

登録日: 2015-07-11

最終更新日: 2016-10-18

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【Q】

コンポジットレジンを固める際に青色の光を当てる治療と,歯の悪いところをレーザーで焼く治療を受けました。前者では特に眼の保護はせず,後者の場合は保護眼鏡を着用しました。歯科治療に使用する光線などの眼に対する有害性をご教示下さい。 (兵庫県 K)

【A】

コンポジットレジン修復法は,歯牙欠損の修復の際に使用するレジンに可視光線を照射することで硬化させる方法です。光重合型レジンを固める際に使用する青色光は,有効波長域450~470nmの青色LED光です。口腔内で光源を付け,歯に直接照射しているため,患者が直視することはありません。したがって,患者の眼への影響はないと考えられ,保護眼鏡は着用しません。
一方,レーザーを用いる場合には,患者の眼への影響を考慮して保護眼鏡を着用してもらっています。歯科に用いるレーザーとしては,Er:YAG(エルビウムヤグ)レーザー,CO2レーザー,Nd:YAG(ネオジムヤグ)レーザーと半導体レーザーがあります。エナメル質や象牙質を構成するヒドロキシアパタイトの光吸収特性をみると,吸収ピークが3μm前後と10μm前後にあるので,この波長に近いEr:YAGレーザー(2.94μm)とCO2レーザー(10.6μm)が歯質に作用しやすいとされます(文献1)。Nd:YAGレーザー(1.06μm)は,血管の凝固や腫瘍の摘出などに使用し,半導体レーザー(0.81μm)は歯周病の治療に用いられます。
レーザーの眼への影響としては,Er:YAGレーザーとCO2 レーザーは,角膜や水晶体の障害を生じるとされます(文献2,3) 。一方,Nd:YAGレーザーと半導体レーザーは,水晶体を通過し,レンズ効果により網膜に集光され,高いエネルギー密度を持つため,網膜障害を生じるとされます(文献2,3)。このようにレーザーは眼障害を引き起こす可能性がありますので,保護眼鏡を用います。
保護眼鏡はレーザーの波長を特定して防護するようにできています。したがって,歯科用レーザーでの治療中には,それぞれのレーザー波長に応じた専用の保護眼鏡を着用する必要があります。

【文献】


1) 吉田憲司,他:日レーザー歯会誌. 2012;23(3):147-50.
2) レーザー協会,編:レーザ応用技術ハンドブック. 朝倉書店, 1984.
3) 上條由美,他:眼臨医報. 2003;97(2):95-100.

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