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dactylitis(指炎)の鑑別疾患と治療法

No.4702 (2014年06月07日発行) P.66

六反田 諒 (聖路加国際病院アレルギー膠原病科(SLE,関節リウマチ,小児リウマチ))

登録日: 2014-06-07

最終更新日: 2016-10-18

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【Q】

dactylitis(指炎)の鑑別疾患や合併しやすい症状について。また,指炎の治療法を。(埼玉県 S)

【A】

指炎とは手足の単独または複数指に認める炎症性腫脹であり,主に脊椎関節炎疾患に認める身体所見である。近年,MRIや超音波を使用した研究からは,指炎の罹患部位には屈筋腱の腱鞘滑膜炎が高頻度に認められることが報告されており,関節炎,軟部組織浮腫などの要素と複合して指炎を呈していると考えられている(文献1)。
疾患としては,特に乾癬性関節炎および反応性関節炎では高頻度に認められる。乾癬性関節炎では48%の患者が経過中に指炎を合併することが報告されている(文献2)。強直性脊椎炎や炎症性腸疾患関連関節炎などの,広義の脊椎関節炎疾患にもしばしば認めることがある。
それ以外の鑑別としては,サルコイドーシス,痛風,鎌状赤血球症,抗酸菌感染症などが挙げられる。サルコイドーシスでは17%に指炎を認め,発症早期の症状であることが多いと言われており(文献3),長期罹患後に指炎を合併する痛風とは対照的である。鎌状赤血球症では2歳までに約1/4の患者に指炎が認められ,疾患予後の予測因子ともなる(文献4,5)。
また,指炎は肺外結核やBCG接種後の稀な症状としても報告されており,一部の症例では感染症にも注意が必要である(文献6)。
欧州リウマチ学会からの乾癬性関節炎治療に対する治療推奨(文献7)では,指炎には,NSAIDsや局所ステロイド注射から治療を開始し,抵抗性であった場合にはTNFα阻害薬の使用が推奨されている。抗リウマチ薬の有効性に関しては明確に示されている研究がないため,現時点では一般的には推奨されていない。

【文献】


1) Bakewell CJ,et al:J Rheumatol. 2013;40(12): 1951-7.
2) Brockbank JE, et al:Ann Rheum Dis. 2005;64 (2):188-90.
3) Rothschild BM, et al:Semin Arthritis Rheum. 1998;28(1):41-7.
4) Miller ST, et al:N Engl J Med. 2000;342(2):83-9.
5) Gill FM, et al:Blood. 1995;86(2):776-83.
6) Healy PJ, et al:Curr Rheumatol Rep. 2006;8 (5):338-41.
7) L Gossec, et al:Ann Rheum Dis. 2012;71(1):4-12. doi:10. 1136/annrheumdis-2011-200350.

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