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医師法21条の混乱は収束したか [お茶の水だより]

No.4767 (2015年09月05日発行) P.11

登録日: 2015-09-05

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▼医療事故で患者が死亡した時、施設長は警察署に届け出る義務があるのか─。医師法21条の解釈を巡り、医療現場で混乱した時期が続いた。
▼厚生労働省は2000年、国立病院向けの『リスクマネージメントマニュアル作成指針』の中で、「医療過誤によって死亡又は傷害が発生した場合には、施設長は所轄警察署に届出を行う」と記述。これが民間病院にも影響し、混乱の原因の1つになっていた。
▼しかし、2012年、厚労省の当時の医事課長が「厚労省が診療関連死を(警察に)届け出るべきと申し上げたことはない」「国立病院以外がマニュアル作成指針に拘束される理由はない」と説明。さらに昨年、田村憲久厚労相(当時)が国会で医師法21条について「医療事故を想定しているわけではない」と明言した。
▼今年6月の日本医師会代議員会では、国立病院が独立行政法人に移行した時点でマニュアル作成指針は失効しているとの厚労省の見解が紹介され、本誌も厚労省に確認したところ、同様の回答を得た。さらに、厚労省の『死亡診断書記入マニュアル』でも改訂があった。今年度版から「日本法医学会の異状死ガイドラインも参考にする」との文言が削除された。
▼医師法21条は、「医師は、死体又は妊娠4月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、24時間以内に所轄警察署に届け出なければならない」としており、最高裁判例(2004年)により「検案」は、「死体の外表を検査すること」とされている。つまり、冒頭の問いに対する答えは、「死体の外表を検査し、異状があると医師が判断した場合」となる。
▼10月から、医療安全を目的とした医療事故調査制度が始まるが、これをきっかけに再び、医師法21条の解釈に混乱が生じる懸念がある。制度開始にあわせ、医師法21条の正確な周知が必要だ。

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