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冠動脈疾患の新リスクスコア開発 - 日本人の実態に即し、より正確な予測が可能に [国立循環器病研究センター]

No.4699 (2014年05月17日発行) P.11

登録日: 2014-05-17

最終更新日: 2016-11-16

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【概要】国立循環器病研究センターの研究チームが開発した、心筋梗塞など冠動脈疾患の10年間の発症確率を予測する新しいリスクスコア「吹田スコア」が7日、公表された。


国立循環器病研究センター予防医学・疫学情報部の西村邦宏室長らの研究チームは、センターで行っている吹田研究を基に、心臓病のリスクの高い都市部住民を対象として、慢性腎臓病(CKD)などさまざまな危険因子を組み合わせ、冠動脈疾患(=心筋梗塞、冠動脈バイパス術、冠動脈形成術、24時間以内の内因性急性死)の10年間の発症確率を予測するリスクスコアを開発。その妥当性をフラミンガムリスクスコア(FRS)と比較検証した。

●CKDやLDLコレステロールを高く評価
日本人の心筋梗塞発症リスクは欧米人に比べて極めて低いため、欧米で用いられているFRSは不適当と考えられていたが、その妥当性は検証されてこなかった。吹田スコアは、心筋梗塞や脳卒中の既往のない5866人の健常者(平均54.5歳の男女)を11.8年追跡し、213例の冠動脈疾患を観察した上で、各リスクに割り当てた点数(表1)を合計することで10年間の冠動脈疾患発症確率(表2)を予測できるようにした。リスクの点数は、近年冠動脈疾患のリスクとして注目されているCKDのステージ4以上、次いでLDLコレステロール高値を高く評価するよう設定している。
その結果、FRSは発症確率を過大評価する傾向にあったが(最大で約14%)、吹田スコアは実際の発症確率とほぼ同様に冠動脈疾患の発症を予測。リスクスコアにCKDを含むことで、より正確な予測が可能となることが明らかになった。

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