視神経炎は,視神経を主病変とした急性の炎症であり,原因として広義には自己免疫性,感染性,圧迫性,遺伝性,栄養障害性などが含まれる。本稿で述べる狭義の自己免疫性視神経炎では,ステロイド抵抗性になりやすいアクアポリン4(AQP4)抗体関連視神経炎〔または,視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)〕が全体の12%,ステロイド依存性になりやすいミエリンオリゴデンドロサイト糖蛋白(MOG)抗体関連視神経炎が全体の10%に存在する。
典型的視神経炎では,片眼から始まる急激な視力低下や眼球運動痛をきたし,中心暗点,盲点中心暗点を認める。また,中心フリッカー値の低下,頭部/眼窩MRI脂肪抑制T2強調造影もしくはSTIR法で視神経に沿って高信号がみられ,頭部/眼窩MRI T1強調造影で視神経に沿って造影効果を認める。さらに,血清AQP4抗体(ELISA法:保険適用,CBA法:保険適用外),血清MOG抗体(CBA法:保険適用外)も可能ならば測定する。
典型的視神経炎ではステロイドパルス療法(1クール3~5日間)が第一選択となる。視力低下が軽度の場合は自然寛解する可能性があるため,投薬せずに経過観察でもよい。ステロイドパルス療法で視力改善効果がなければ,ステロイド抵抗性視神経炎として大量免疫グロブリン静注療法(IVIg)もしくは血液浄化療法(単純血漿交換,二重膜濾過血漿交換,免疫吸着療法)を検討する。特に,AQP4抗体関連視神経炎,MOG抗体関連視神経炎では,速やかにIVIgや血液浄化療法に移行する必要がある。
視力改善後の後療法には,ステロイド内服漸減療法を行うが,抗体陽性視神経炎ではステロイド内服漸減療法に加えて免疫抑制薬も考慮する。AQP4抗体関連視神経炎において再発・寛解を繰り返す場合には,エクリズマブ,サトラリズマブ,イネビリズマブなどの生物学的製剤の投与を検討する。
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