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混合性結合組織病[私の治療]

No.5157 (2023年02月25日発行) P.46

藤井隆夫 (和歌山県立医科大学附属病院リウマチ・膠原病科教授)

登録日: 2023-02-24

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  • 混合性結合組織病(mixed connective tissue disease:MCTD)は抗U1-RNP抗体高力価陽性を特徴とし,全身性エリテマトーデス(SLE)様,全身性強皮症(SSc)様,多発性筋炎様の症状が混在する疾患である。レイノー現象が必発である。また,肺動脈性肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension:PAH)の合併が10%程度に認められ,予後規定因子として重要である。比較的特異的な臨床症状として三叉神経障害,無菌性髄膜炎がある。1:13~16と女性が圧倒的に多く,好発年齢は30~40歳代である。わが国では指定難病であり,患者数〔2014(平成26)年度医療受給者証保持者数〕は1万1005人と報告されている。

    ▶診断のポイント

    診断については厚生労働省基準を参照されたい1)。SLEやSSc,また,多発性筋炎/皮膚筋炎の基準(国際的な分類基準も含む)を満たした場合(特にこれらの疾患に特異的な自己抗体が存在する場合)には,安易にMCTDと診断しない。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    MCTDと診断されたら,まず臓器病変の広がりと重症度を評価する。また,MCTDが疑われた場合,一度は膠原病専門施設を受診させる。

    無菌性髄膜炎などの中枢神経障害,間質性肺炎などの肺病変,血小板減少症などの血液障害がある場合には,重症と判断される。

    PAHについては,自覚症状がなくとも心臓超音波検査などでスクリーニングを行う。SLE,SSc,多発性筋炎に準じた治療を行うことが原則となるが,副腎皮質ステロイド(GC)が多用される慢性疾患であり,その副作用に常に注意し,必要最小限の量で治療することが重要である。

    疾患活動性が高い場合にはGC大量投与が行われるが,PAHではシクロホスファミドの併用が有効である。現在多数の肺高血圧症治療薬が使用できるため,肺高血圧症に詳しい専門医と密に連携し,右心カテーテル検査で正確な肺動脈圧やその上昇の原因,心機能を評価した上で,免疫抑制療法のみでPAHが制御できない場合には適切な薬剤を選択・併用する。初診時にPAHが認められなくても,経過中に発症がないか定期的な検査が必要である。なお,PAH合併例では,妊娠は原則禁忌となる。

    無菌性髄膜炎が認められた場合,非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は禁忌である。使用中であればいったん中止し,同種・同効薬も原則使用しない。

    MCTDでは臨床的にSScの要素が強い症例がある。抗RNAポリメラーゼⅢ抗体や抗Scl-70(トポイソメラーゼⅠ)抗体陽性例に対して中等量以上のGCを使用する際には,強皮症腎クリーゼ発症のリスクがあるので注意する。

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