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■NEWS 人工呼吸管理中の体位交換時の医療事故で注意を喚起―医療機能評価機構・医療安全情報

No.5154 (2023年02月04日発行) P.78

登録日: 2023-01-27

最終更新日: 2023-01-27

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日本医療機能評価機構は116日、「医療安全情報No.194」を公表した。人工呼吸管理中の患者の体位交換の際に、患者から外した人工呼吸器の回路にテスト肺を接続したために、人工呼吸器のアラームが鳴らず、患者に回路が再接続されていないことに気づくのが遅れた事例を紹介。注意を喚起した。

こうした事例の報告は、20191月1日から221130日までの間に3件あった。機構は今回、このうち2件の事例の詳細を明らかにしている。そのうち1件では、看護師が人工呼吸管理中の患者の体位交換を行う際に、人工呼吸器の回路を気管切開チューブから外してテスト肺を接続したが、体位交換後、患者の呼吸状態や人工呼吸器の回路の接続の確認を行わないまま、退室してしまった。8分後、セントラルモニタのアラームが鳴り、SpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)が85%、心拍数が40回/分だったため、看護師が訪室したところ、患者に人工呼吸器の回路を再接続していなかったことに気づいた。

もう1件の事例も、人工呼吸管理中の患者(自発呼吸あり)の体位交換時に発生した。1例目と同様の経緯で、体位交換を行った看護師は、人工呼吸器の回路をテスト肺から患者に再接続することなく退室。この看護師はその5分後には患者の経管栄養を開始し、30分後には人工呼吸器の加温加湿器の蒸留水を交換したが、その際にも患者の呼吸状態や人工呼吸器の回路の接続の確認を行わなかった。人工呼吸器の回路が接続されていないことに気づいたのは、体位交換から実に1時間後で、来院した家族の指摘で発覚した。

機構によると、事例が発生した医療機関では再発防止策として、人工呼吸器を装着している患者のもとを離れる際には、回路が患者に接続されていることや、患者の胸郭の動きを確認する取り組みが行われている。

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