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バーキットリンパ腫[私の治療]

No.5134 (2022年09月17日発行) P.43

錦織桃子 (京都大学大学院医学研究科血液・腫瘍内科学講師)

登録日: 2022-09-18

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  • バーキットリンパ腫はきわめて進行の速いリンパ腫であり,小児から成人にかけて幅広い年齢で発症する。初期対応が遅れると致命的となりうるため,速やかに診断を進め,治療を開始する必要がある。かつては予後不良な疾患とされていたが,近年は強力化学療法を行うことで治療成績の向上がみられている。生命のリスクは発症から1~2年の間に集中し,晩期再発はほぼ認めないことから,適切な初期治療により根治をめざすことが治療の鍵となる。

    ▶診断のポイント

    腫瘍量を反映してLDHが急速に上昇し,尿酸やクレアチニンの上昇を伴うこともある。細胞診では好塩基性の細胞質に空胞を伴う中型の腫瘍細胞を認める。腫瘍組織は核細胞質比の高い単調な腫瘍細胞で占められ,starry skyと呼ばれるマクロファージの腫瘍細胞貪食によって生じた空隙が散在する像を呈する。

    免疫染色では汎B細胞マーカーに加え,起源細胞である胚中心B細胞の性質を反映し,CD10やBCL6が陽性となる。染色体検査ではc-MYC転座陽性が診断の指標となる。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    迅速に全身評価と病理診断を行い,可及的速やかに化学療法を開始する。骨髄浸潤や中枢神経浸潤を生じやすく,骨髄や髄液検査で即日診断可能な場合もある。典型例では抗癌剤感受性は良好であるものの,B細胞リンパ腫全般で用いられるR-CHOP療法では十分な制御が得られないことが多く,Hyper-CVAD/HD-MA1)療法やDA-EPOCH2)療法,若年患者では(modified)CODOX-M/IVAC3)療法などの強力化学療法を行う。リツキシマブも用いられるが,腫瘍崩壊症候群のリスクが高い疾患であることから,まず他の薬剤で病勢が抑えられてから使用することが勧められる。小児でも同様の治療戦略に基づく多剤併用化学療法が行われるが,不妊症などの晩期毒性に配慮した薬剤選択やリスクに応じた薬剤量の変更が考慮される。

    中枢神経浸潤予防も重要であるが,腎障害や胸腹水を生じている際にメトトレキサートを使用すると排泄遅延を生じる危険性があることに留意する。

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