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シェーグレン症候群[私の治療]

No.5131 (2022年08月27日発行) P.47

松本 功 (筑波大学医学医療系膠原病リウマチアレルギー内科教授)

登録日: 2022-08-26

最終更新日: 2022-08-23

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  • シェーグレン症候群(Sjögren’s syndrome:SS)は,50~60歳代女性に好発し,唾液腺や涙腺などの外分泌腺を標的とした臓器特異的自己免疫疾患である。腺組織では単核球を主体とする細胞浸潤を認め,腺破壊により唾液・涙液などの分泌低下をきたして眼や口腔の乾燥症状を呈する。また,種々の自己抗体産生と肺・肝・腎など多彩な臓器病変(いわゆる腺外症状)を併発しうる全身性自己免疫疾患でもある。

    ▶診断のポイント

    涙腺あるいは口唇腺組織検査,口腔検査,眼科検査,血清自己抗体検査の4項目中いずれか2項目以上を満たすものをSSと診断する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    自己免疫疾患のひとつであるが,ステロイドによる分泌腺機能の改善は期待できないため,腺型症状には患者の主訴である乾燥症状に対する対症療法にとどまる。セビメリン,ピロカルピンは下痢や多汗などが出現することがあり,患者ごとに投与量の調節が必要である。状況により胃薬〔唾液分泌を促すとされるニザチジン,ムコスタ®(レバミピド)や,調整薬としてトリメブチンマレイン酸塩など〕の併用を考慮する。点眼薬は,防腐剤の含まれているものは頻回の点眼で角膜障害を引き起こす可能性があり,防腐剤無添加のものを考慮する。

    腺外症状にはステロイドをはじめとする免疫抑制薬を使用することがある。関節症状などの腺外症状に対しては,NSAIDsで対応することが多いが,関節リウマチ(約20%)や他の膠原病を合併することがあり,その際には合併病態に準じた治療を考慮する。

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