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■NEWS 【国際脳卒中学会(ISC)】広範囲脳梗塞にも血管内治療は有用:日本発RCT“RESCUE-Japan LIMIT”がISCのLate Breakerを飾る

登録日: 2022-02-14

最終更新日: 2022-02-14

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29日から米国ニューオーリンズで開催された国際脳卒中学会(ISC)では、日本で実施されたランダム化試験がLate Breaker(学術集会のメインとなる重要な試験)として報告された。吉村紳一氏(兵庫医科大学)が報告した“RESCUE-Japan LIMIT”である。現在、経皮的血栓回収術の適応となっていない広範囲脳梗塞に対する、同手技の有用性が検討された。

対象は、全国45施設から3年間弱かけて登録された内頸動脈・中大脳動脈主幹部閉塞で「ASPECTS3-5」(86.2%がMRI評価)、かつ「修正ランキンスケール(mRS):0-1」だった、脳梗塞急性期203例である。

平均年齢は76歳、44.3%を女性が占めた。入院時のASPECTS中央値は3だった。

これら203例は、tPAを含む薬剤療法のみを実施する(薬剤治療単独)群と、薬剤療法に血栓回収術を追加する(血管内治療追加)群にランダム化され、非盲検下で90日間観察された。なおASPECTS中央値は「血管内治療追加」群で「3」となり、「薬剤治療単独」群の「4」よりも低値だった。またtPA施行率は25%強だった(「血管内治療追加」群:26.7%、「薬剤治療単独」群:28.4%)。

その結果、1次評価項目である90日後「mRS0-3」の割合は、「血管内治療追加」群で31.0%となり、「薬剤治療単独」群(12.8%)よりも達成可能性は有意に高かった(相対リスク[RR]:2.4395%信頼区間[CI]:1.35-4.37)。

一方、安全性評価項目であるランダム化後48時間以内の「症候性(NIHSS 4ポイント以上増悪)頭蓋内出血」の発生率は、「血管内治療追加」群:9.0%、「薬剤治療単独」群:4.9%でリスクに有意差はなかった(1.840.64-5.29)が、「全頭蓋内出血」は58.0%31.4%となり、「血管内治療追加」群における有意なリスク増加を認めた(1.851.33-2.58)。しかし、90日死亡リスクに有意差はなかった(0.770.44-1.3218.0 vs. 23.5%)。

本研究は、美原脳血管障害研究振興基金、ならびに日本脳神経血管内治療学会から資金提供を受けて実施された。

また報告と同時に論文もNEJM誌ウェブサイトにて公開された。わが国で実施された心臓血管系ランダム化試験がNEJM誌に掲載されるのは、本報告が3報目(前2報はいずれもDOAC関連)。脳血管領域では初の掲載である。

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