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【一週一話】舌下免疫療法の心得

No.4720 (2014年10月11日発行) P.49

湯田厚司 (ゆたクリニック院長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-23

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  • 免疫療法はスギ花粉症に高い効果を有するが,皮下注射法に加えてこの秋に利便性の高い舌下法治療薬(シダトレン1397904493)が新発売された。舌下法と皮下注射法の薬液は同じ成分であるが,吸収効率の関係から舌下法は多くのアレルゲン量を必要とし,毎日自宅で治療することとなる。その分薬価が引き下げられ,手軽に花粉症患者に導入できるようになった。
    舌下法は皮下注射法より安全であるが,理論上アナフィラキシーショックを起こす可能性があるため,今回の発売にあたり制限が加えられた。医師がシダトレンを処方するにあたっては,関連学会の講習を受ける必要がある。受講後に,発売会社のWebでのe-learningを視聴し,Web上での試験を受けてから処方が可能となる。これらの段取りを終了した医師名はWeb上で公表される。薬剤師も処方医が公表されている医師であることを確認しなければならない。また,初回投与のみ医療機関で行うことが義務づけられている。院外処方であっても患者には医療機関で初回投与を行い,副反応がないことを30分間確認してから帰宅させる。以降は,自宅において自己舌下投与する。

    治療の開始はスギ花粉飛散期に行ってはならない。また,花粉飛散開始の3カ月以上前に行うと初年度の効果が高まる。2月中旬からスギ花粉が飛散する関東以西での例を挙げると,ヒノキ花粉飛散が終了して落ちつく6~11月の間で治療を開始するとよい。舌下投与は通年に1日1回自宅で毎日行う。治療効果は初年度よりも2年目に高くなりやすいため,まずは2期の花粉シーズンでの効果を検討し,効果が認められれば合計4~5年間の治療継続が望ましい。長期間毎日行う治療であるため,根気よく治療しなければいけない。シダトレンは新規治療薬であるため,発売後1年間は14日分以内の処方日数制限がある。また,その後も1カ月ごとの通院が望ましい。

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