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膵頭十二指腸切除に対する腹腔鏡下手術とロボット支援下手術の相違点や今後の方向性は?

No.5034 (2020年10月17日発行) P.54

髙橋道郎 (東京都立墨東病院外科医長)

中村雅史  (九州大学大学院医学研究院臨床・腫瘍外科 教授)

登録日: 2020-10-16

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  • 腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術(pancreaticoduodenectomy:PD)は2016年4月に保険適用となりましたが,原則として良性から低悪性度の腫瘍に限定されていました。2020年4月から悪性腫瘍に対しても保険適用が認められ,今後普及していくことが予想されます。同時にロボット支援下PDも保険適用となりましたが,その棲みわけは明確ではありません。膵頭十二指腸切除に対する,腹腔鏡下手術とロボット支援下手術に関して,両者の相違点や今後の方向性をご教示下さい。両方の手術手技に精通されている,九州大学・中村雅史先生にお伺いします。

    【質問者】

    髙橋道郎 東京都立墨東病院外科医長


    【回答】

    【切除では腹腔鏡,再建ではロボットのメリットが大きい】

    ロボット支援下手術は,一般的に骨格等で制限された空間での利点が大きいとされています。また,多関節構造を有するため,縫合・結紮手技を比較的容易に行うことができます。その一方で,可動域がポート設定で固定されるため,広い領域での操作が苦手です。腹腔鏡下手術はロボット支援下手術に比較すると広範囲の操作が可能ですが,可動制限のために複雑な縫合・結紮手技を行うことは困難です。

    スタンダードなPDは,結腸間膜の上下にわたる範囲の切除操作が必要であり,基本的には切除部分では腹腔鏡のほうが容易であるという意見が散見されます。ただし,切除早期に右半結腸を広範に授動することにより,結腸間膜右上からのアプローチのみで上腸間膜動脈(superior mesenteric artery:SMA)左側の郭清も含めた十分な切除が可能になります。蛇足ですが,SMAの根部は結腸間膜付着部よりかなり頭側にあるため,左側からのSMAへのアプローチは根部よりやや末梢の操作に終始してしまうきらいがあります。これに対し,右側からのアプローチは,Kocherizationと右半結腸脱転を組み合わせることで,SMA根部まで障害なく良好に視認することが可能です。精通すると,特殊な例を除き,結腸間膜下の操作を必要としなくなります。

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