株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

【識者の眼】「療養者の“入院閾値”を決定づける4つの要素」川越正平

No.5019 (2020年07月04日発行) P.65

川越正平 (あおぞら診療所院長)

登録日: 2020-06-18

最終更新日: 2020-06-18

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

療養者が急病を生じた場合に、入院すべきかどうか、どこにお願いするか、迷う場面がある。AMIやSAHの場合は救急病院への搬送は避けられないが、UTIや圧迫骨折、蜂窩織炎などのサブアキュート病態の場合、考え方を切り替える必要がある。

発症に際して介護需要も増加することから、療養継続に困難が生じる。しかし、急性期病院に入院することは転倒骨折やせん妄等の入院機能関連障害や身体抑制、本人が望んでいない濃厚医療の実施など、茨の道になる恐れもある。地域包括ケア病棟など後方支援病院であれば、高齢者の受け入れ経験がより豊富で適切な医療ケアを提供しうる。平日日勤帯にしかるべき依頼の手順を踏めば、サブアキュートの入院を受け止める可能性がある。

入院適応について、肺炎ですら常に入院がベストとは限らない。そこで、後方支援病院に入院するか、在宅療養を継続するかどうか、“入院閾値”と呼びうる考え方を提起する()。

入院閾値”を決定づける要素として、①家族対応力、②リロケーションダメージ、③チーム対応力、④ACP─の4つを挙げる。

①は、理解良好な家族の手厚い支援に恵まれている場合と独居や老老世帯、患者や家族が不安を抱いている場合では、病態が同じでも判断は変わる。②は、環境の変化に適応できず、転倒骨折やせん妄を生じやすい患者(認知症合併や慢性呼吸不全等)とそうでない患者がいる。③は、関わる在宅医療従事者の力量が豊かな場合とそうでない場合がある。④は、重大事態に備えてACPを積み重ねてきたかにも左右される。

医師は病態の重症度を基に入院適応を判断する。他の医療介護従事者は入院の適否は医師の専権事項だと考える傾向がある。しかし、サブアキュートの場合、入院閾値を考慮しつつ、患者家族を取り巻く従事者の総意として見極めるべきである。このような共通理解を熟成するべく、地域の中で後方支援病院を巻き込んで話し合いを重ねる必要がある。

川越正平(あおぞら診療所院長)[サブアキュート][後方支援病院][入院閾値][リロケーションダメージ]

ご意見・ご感想はこちらより

関連記事・論文

もっと見る

関連物件情報

page top