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【識者の眼】「補完代替療法に関する正確な情報の収集方法」大野 智

No.5011 (2020年05月09日発行) P.44

大野 智 (島根大学医学部附属病院臨床研究センター長)

登録日: 2020-05-11

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厚生労働省は、玉石混淆とされる統合医療・補完代替療法を適切な形で進めていく上で、①補完代替療法の安全性・有効性を検証するための臨床研究を支援する、②補完代替療法の科学的知見を収集しインターネット等を介して情報を提供する─の2つを重要な取り組みとして挙げている1)

前回(No.5008)、1つ目の臨床研究支援について日本医療研究開発機構(AMED)の取り組みとともに補完代替療法に関する研究(特にランダム化比較試験の報告数)の動向について概説した。今回は2つ目の統合医療・補完代替療法に関する情報提供の取り組みを紹介する。

厚生労働省は2013年度より「統合医療」に係る情報発信等推進事業にて「統合医療」情報発信サイト(https://www.ejim.ncgg.go.jp/)を作成している(図)。掲載されている内容は、米国のNational Center for Complementary and Integrative Health、Office of Dietary Supplements(NIH)、National Cancer Instituteなどの補完代替療法に関する情報、Cochrane Reviewsのplain language summary(補完代替療法分野に限る)、鍼灸・あんまマッサージ指圧・漢方のランダム化比較試験に関する構造化抄録などである。サイトの運営方針としては、補完代替療法と、どのように向き合い、利用したらよいのかどうかを考えるための情報提供のみにとどめており、個人の責任で実施するものを制限する意図はなく、また特定の施術・療法を勧めるものでもない。また一般向けには情報リテラシー向上を目的としたコンテンツ、医療者向けには患者とのコミュニケーションに役立つ情報が掲載されている。もしご興味のある方、あるいは患者から相談されて苦慮したことのある方などはアクセスしてみてもらいたい。

【文献】

1) 厚生労働省「統合医療」のあり方に関する検討会:これまでの議論の整理について. 2013年2月22日

大野 智(島根大学医学部附属病院臨床研究センター長)[統合医療・補完代替療法④]

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