〈あらすじ〉ある日,渡村リウマチクリニックに,リウマチ性多発筋痛症(polymyalgia rheumatica:PMR)で治療中の女性が右肩の痛みを訴えて再診した。PMRの再燃の所見が乏しく戸惑う渡村。さて,本当の痛みの原因はどこにあったのだろうか?
今月も私のケースファイルから興味深い右肩痛の症例を紹介しよう。
その日,リウマチ性多発筋痛症(PMR)で2年前から治療をしている77歳の女性が私の定期外来にやってきた。プレドニゾロン(ステロイドの一種)25mg隔日で治療を開始し,ミゾリビン(免疫抑制剤の一種)を追加してプレドニゾロンを漸減終了。その後しばらくして両肩・両股関節の痛みで再発したためプレドニゾロンを15mg隔日に増量し,メトトレキサート(methotrexate:MTX,抗リウマチ薬)を漸増しながら1カ月ごとに慎重にプレドニゾロンを漸減しているところだった。
メトトレキサート(MTX)も12mg/週まで増やしたので,今回こそ寛解しているだろうと期待してお会いすると,「先生,あと一歩なんだよね」とのこと。「あと一歩」というのは,右肩の外転動作(脇を開く方向に腕を挙上する動き)時の痛みが残っているのだという。PMRでプレドニゾロンを漸減中に肩が痛いのは,そりゃあ9割方はPMRの炎症燃え残りであろう。とはいえ,今回の訴えは片側の痛みでもあり,稀に炎症で弱くなった棘上筋腱の断裂で痛みが生じている場合もあるので,油断はできない。