株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

消えた炎症[痛み探偵の事件簿(6)]

No.4988 (2019年11月30日発行) P.30

須田万勢 (諏訪中央病院総合診療科/リウマチ膠原病内科,聖路加国際病院リウマチ膠原病センター)

監修: 小林 只 (弘前大学医学部附属病院総合診療部)

登録日: 2019-11-29

最終更新日: 2019-11-27

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

〈あらすじ〉ある日,渡村リウマチクリニックに,リウマチ性多発筋痛症(polymyalgia rheumatica:PMR)で治療中の女性が右肩の痛みを訴えて再診した。PMRの再燃の所見が乏しく戸惑う渡村。さて,本当の痛みの原因はどこにあったのだろうか?

      

今月も私のケースファイルから興味深い右肩痛の症例を紹介しよう。

その日,リウマチ性多発筋痛症(PMR)で2年前から治療をしている77歳の女性が私の定期外来にやってきた。プレドニゾロン(ステロイドの一種)25mg隔日で治療を開始し,ミゾリビン(免疫抑制剤の一種)を追加してプレドニゾロンを漸減終了。その後しばらくして両肩・両股関節の痛みで再発したためプレドニゾロンを15mg隔日に増量し,メトトレキサート(methotrexate:MTX,抗リウマチ薬)を漸増しながら1カ月ごとに慎重にプレドニゾロンを漸減しているところだった。

メトトレキサート(MTX)も12mg/週まで増やしたので,今回こそ寛解しているだろうと期待してお会いすると,「先生,あと一歩なんだよね」とのこと。「あと一歩」というのは,右肩の外転動作(脇を開く方向に腕を挙上する動き)時の痛みが残っているのだという。PMRでプレドニゾロンを漸減中に肩が痛いのは,そりゃあ9割方はPMRの炎症燃え残りであろう。とはいえ,今回の訴えは片側の痛みでもあり,稀に炎症で弱くなった棘上筋腱の断裂で痛みが生じている場合もあるので,油断はできない。

プレミアム会員向けコンテンツです(期間限定で無料会員も閲覧可)
→ログインした状態で続きを読む

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

関連物件情報

もっと見る

page top