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下肢静脈瘤治療の変遷

No.4978 (2019年09月21日発行) P.51

吉井康欣 (大阪医科大学外科学講座胸部外科学)

勝間田敬弘 (大阪医科大学外科学講座胸部外科学教授)

登録日: 2019-09-20

最終更新日: 2019-09-17

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【血管内焼灼術とその先】

下肢静脈瘤や下腿潰瘍治療に関して,ヒポクラテスが圧迫療法についての興味深い記述を残しており,その後19世紀初頭から現在まで下肢静脈瘤の外科的治療は大伏在静脈全長抜去術,いわゆるストリッピング術が標準的治療であった。

2010年に,不全伏在静脈に対して血管内焼灼術(980nmレーザー)が認可され,下肢静脈瘤治療の新時代の幕開けとなった。14年には,新しいレーザー焼灼機器(1470nm,第3世代)と高周波焼灼器(RFA)が保険認可され,もはやストリッピングに代わる標準的治療手技となり,両機器とも少ない合併症で治療成績は良好である1)。また,tumescent local anesthesia(TLA麻酔)は,血管内焼灼の低侵襲性に大きく寄与している。日本人の10人に1人が下肢静脈瘤を有する2)と推定されており,血管内焼灼による治療は,ますます増加すると思われる。

最近欧米では,血管内焼灼術(レーザー・高周波)はthermal tumescent(TT)療法に分類される一方,焼灼も麻酔もしないシアノアクリレート(下肢静脈瘤はわが国では未承認)・ポリドカノール(POL)フォーム・カテーテル硬化療法などの新しい治療法がnonthermal nontumescent(NTNT)療法に分類され,さらなる低侵襲化が進んでいる。わが国でも16年,伏在静脈本幹に対する硬化療法が認可された。手技やフォーム硬化剤の作製法,合併症の回避等,解決すべき問題は存在するが,今後,さらなる進化に期待したい。

【文献】

1) 山本 崇, 他:静脈学. 2016;27(3):275-80.

2) 関崎博巳, 他:日レーザー医会誌. 2012;33(1):52-6.

【解説】

吉井康欣,勝間田敬弘  大阪医科大学外科学講座胸部外科学 *教授

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