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精密かつ低被ばくの手技を実現可能とした血管撮影装置

No.4963 (2019年06月08日発行) P.49

竹口友有子 (武蔵野赤十字病院放射線科)

登録日: 2019-06-06

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【近年,血管撮影装置は進化しており,診断から治療へと,より精度の高い手技が可能となっている】

血管撮影装置は年々進化しており,低侵襲な画像下治療(IVR)が可能となってきている。

当院では被ばく低減,高画質な透視と減算血管撮影(DSA),高精細なCT like image(CBCT),主としてこの3点から血管撮影装置を選定し,現在年間800件ほどのIVRを行っている。特に,肝細胞癌治療の経カテーテル動脈化学塞栓療法(TACE)における術中のCBCTは,肝細胞癌の診断に十分な画質であり,これをもとに精密な治療が可能となった。さらに,2014年から導入した栄養血管自動解析ソフトウェアは,病変を指摘すると自動で血管が描出でき,治療に大きく貢献している。

筆者らの検討では,自動解析ソフトによる肝細胞癌の栄養血管同定率は約90%と高く,陽性的中率もきわめて高い1)。自動解析ソフトの導入により腫瘍の栄養血管同定にかかる負担は大幅に軽減され,血管選択に集中することが可能となり,手技時間の短縮,被ばく低減につながっている。

このように,デジタル処理技術の向上による大幅な被ばく低減と高画質維持を可能にした新しい世代のIVR装置の出現により,低被ばくで精密な手技が可能となっている

【文献】

1) Miyayama S, et al:Abdom Imaging. 2014;39 (3):645-56.

【解説】

竹口友有子 武蔵野赤十字病院放射線科

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