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高齢高血圧患者の膝関節のだるさの原因と治療法は?

No.4954 (2019年04月06日発行) P.54

溝部宏毅 (岩手県立久慈病院総合診療科科長)

登録日: 2019-04-09

最終更新日: 2019-04-02

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高血圧症で薬物治療中の高齢患者が,ほかの疾患がなく合併症もないのに,ときどき夜間に膝関節のだるさを訴えることがあります。疼痛ではありません。この原因と治療法についてご教示下さい。

(大阪府 C)


【回答】

【降圧薬の副作用,むずむず脚症候群を念頭に,漢方薬も含めた薬物治療を試みる】

痛みならば鎮痛薬を使うのですが,だるさの場合は,なかなか治療に難渋します。

最初に,服用している降圧薬の副作用の可能性がないかどうかを考えてみます。カルシウム拮抗薬でほてりやむくみ,β遮断薬で冷えやむくみなどの症状が出ることがあります。利尿薬を使用していると,カリウムなどの電解質のバランスが崩れ,脱力感が出ることがあります。これらの症状をだるさや違和感として訴えているかもしれません。

副作用でない場合,むずむず脚症候群を考えます。これは高齢者にときどきみられるもので,足がむずむずしたり,ジリジリしたりします。夜になって布団に入り眠ろうとする頃に起こり,搔いたり叩いたりしてもよくなりません。この症状はドパミンアゴニストであるプラミペキソール(ビ・シフロール®)やロピニロール(レキップ®)などでよくなることがあります。

これらの薬を用いてもよくならなければ,漢方薬を考えてみます。胃腸が丈夫ならば八味地黄丸を。この薬は下半身の衰えの改善を目標に使います。あまり胃腸が丈夫でない場合には補中益気湯を使います。疲労やだるさに対して使う薬で,副作用も少ないので,最初から使ってよいかもしれません。

【回答者】

溝部宏毅 岩手県立久慈病院総合診療科科長

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