株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

放射線治療における医学物理士

No.4951 (2019年03月16日発行) P.55

安廣 哲 (武蔵野赤十字病院放射線科医学物理士)

登録日: 2019-03-18

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【機器の精度管理,照射計画の検証,照射計画補助作業等を専ら担当】

医学物理士は,放射線医学に対して物理学の専門的知識をもとに医療,研究・開発,教育を実践する人材である。1987年の日本医学放射線学会による認定制度に始まり,2009年の日本医学放射線学会,日本放射線腫瘍学会,日本医学物理学会による医学物理士認定機構の発足を経て,18年に医学物理士の認定数は1100人に達している。

医学物理士の認定には,医学物理学に対して高度な専門技術を要するため,修士,博士課程の大学院教育が義務づけられている。これまで研究分野に限られていたが,近年は高度化した放射線治療の臨床現場において,認定を受けた医学物理士の在籍が進んでいる。

放射線治療では,治療装置の技術革新により,定位放射線治療,強度変調放射線治療(IMRT),画像誘導放射線治療(IGRT)などの高精度放射線治療が導入されている。高精度放射線治療は,腫瘍への線量集中と周囲の正常組織への線量低減により,従来と比較して治療成績の向上が期待されている。高精度放射線治療の実施には,治療装置などの機器および施設に加えて,専門的な知識を有する診療従事者の配置が施設基準として定められている。

その中で,放射線治療における機器の精度管理,照射計画の検証,照射計画補助作業等を専ら担当する者として,医学物理士が挙げられている。また,機器の精度管理には学会が定めるガイドラインの遵守が求められ,そのガイドラインの策定に医学物理士が先導的役割を担っている。

【解説】

安廣 哲 武蔵野赤十字病院放射線科医学物理士

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

関連求人情報

関連物件情報

もっと見る

page top