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【論点】慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対する至適治療:肺動脈内膜摘除術 vs. 肺動脈バルーン拡張術

No.4939 (2018年12月22日発行) P.24

荻野 均 (東京医科大学心臓血管外科主任教授)

登録日: 2018-12-19

最終更新日: 2018-12-18

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Aを選びます。海外(2015年)および国内(2017年)両方の指針において,依然として肺動脈内膜摘除術(PEA)が有効な治療法として推奨されており,中枢型に対しては第一選択です。しかしながら,PEA不能症例,末梢型症例,PEA後の遺残肺高血圧症(PH)もしくは再発症例などは,肺動脈バルーン拡張術(BPA)の良い適応です。したがって,最新の薬物治療やハイブリッド治療(PEA後のBPA,PEA前のBPA,BPA/PEA同時施行,など)を含め,BPAとPEAの両者を絡めた集学的アプローチにより,肺動脈病変ごとに最適な治療法を選択することがますます重要となってきていると言えます。

1 PEAかBPAか

急性肺血栓塞栓症を発症した症例の中で特定の患者において(1~5%程度),慢性期に肺動脈の狭窄・閉塞起点から肺高血圧症(pulmonary hypertension:PH)を呈し,慢性血栓塞栓性肺高血圧症(chronic thromboembolic pulmonary hypertension:CTEPH)と呼ばれる難治性かつ進行性の病態を呈する。従来,肺動脈内膜摘除術(pulmonary endarterectomy:PEA)が唯一の根治的治療法であった1)~5)。両側肺動脈全体の血流クリアランスにより,PHや低酸素血症の有意な改善が得られ,最近では正確な病態の把握,手術手技の向上,経験の蓄積などにより著しい成績の向上をみている。

しかしながら最近の動向として,PEAに必要な全身麻酔,開胸,体外循環,超低体温循環停止などが必要なく,きわめて低侵襲で,PEAが困難な末梢病変にも対応可能な肺動脈バルーン拡張術(balloon pulmonary angioplasty:BPA)がわが国において導入,確立されてきている。主に,末梢型CTEPHやPEA困難症例に対して施行され,良好な早期・中期成績がわが国から世界に向けて発信されている。さらに,CTEPH専用のPH治療薬も臨床導入され,治療法の選択肢が増えたことで,各症例に見合った適切な治療法をいかに選択するかがより重要となってきている。本稿においては,特に「BPAかPEAか」を中心に,その適応,成績について概説する。

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