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■NEWS BCGワクチン問題、情報公表の遅れで国に抗議へ―日医「由々しき事態」

No.4934 (2018年11月17日発行) P.19

登録日: 2018-11-08

最終更新日: 2018-11-08

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定期接種の乾燥BCGワクチンを溶かすための生理食塩液から、規格値を超える濃度のヒ素が検出された問題に関し、日本医師会の釜萢敏常任理事は7日の会見で、厚生労働省がヒ素検出の事実を約3カ月にわたり公表しなかったことについて「由々しき事態であり、憤りを覚える」と述べた。近日中に、厚労省の担当部局に文書で抗議し、再発防止と情報共有の徹底を申し入れる方針。

製造販売元の日本ビーシージー製造は8月9日に、生理食塩液から規格値以上のヒ素が検出されたと厚労省へ報告した後、出荷を停止した。ただ、結核予防の定期接種に用いられるワクチンは国内で同社しか製造していないため、回収は行われず、停止後も流通していた製品が接種された可能性がある。厚労省は経緯を11月5日の薬事・食品衛生審議会の調査会に報告。調査会は、検出されたヒ素が微量であり、仮に全量が体内に入っても接種対象児の健康に悪影響は出ないと結論づけた。

一方、日医が問題を把握したのは11月2日。それまでの間に、行政からBCGワクチンの品質に関する情報提供は全くなかったという。会見で釜萢氏は「出荷停止になった時点で、関係団体と医療機関に情報が伝えられなかったのは行政の落ち度と言わざるをえない」と指摘した。

ビーシージー社は、包装を変えた規格適合品を11月16日から順次、医薬品卸へ出荷するとしている。釜萢氏は、厚労省が発出する通知の内容も踏まえつつ、接種医療機関に混乱が生じないよう、日医から都道府県・郡市区医師会を通じて周知を図る考えを強調した。

「予防接種に規格を満たさない製品が使用されることがあってはならない」と話す釜萢常任理事

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BCGワクチンに基準値超えるヒ素検出、安全性には問題なし―厚労省調査会

https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=11044


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