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乳癌診療におけるPET/CT検査の役割【全身を一度に見ることができ,遠隔転移の検索に有用】

No.4916 (2018年07月14日発行) P.55

山口 健 (佐賀大学医学部医学科放射線医学講座)

久保田一徳 (東京医科歯科大学医学部附属病院医療情報部准教授)

登録日: 2018-07-15

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  • 近年,様々な悪性腫瘍の診療において,その病期診断や再発診断,治療効果判定,あるいは原発不明がんの原発巣検索などの目的でPET/CTが施行されることが多いように思われます。しかし,PET/CTにかかるコストは他の画像検査に比べて高く,適応については慎重な判断が必要です。乳癌診療におけるPET/CT検査の役割について,どのような場合に有用かご教示下さい。東京医科歯科大学・久保田一徳先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    山口 健 佐賀大学医学部医学科放射線医学講座


    【回答】

    フルオロデオキシグルコース─陽電子放射断層撮影(fluorodeoxyglucose-positron emission tomography:FDG-PET)は全身を一度に見ることができ,遠隔転移の検索に用いられることが多い検査です。乳癌の多くはFDGをよく取り込み,骨,肺,肝臓などといった乳癌の転移頻度が高い臓器でも診断能は高いです。現在,多くのPET検査はPET/コンピュータ断層撮影(computed tomography:CT)として行われており,PET単独では検出しにくい病変もCTを併用することで検出が可能です。FDG-PET/CTでは感度96~100%(中央値100%),特異度91~100%(中央値98.1%)と報告されており,検出された病変が偽陽性となることは低いと考えられています1)

    術前の乳癌患者で,限局性の骨の痛みや腹部の症状などの遠隔転移を疑わせる所見がある場合や,Stage Ⅲ以上の乳癌術前患者,術後に遠隔転移を疑わせる所見がある患者においてはPET/CT検査が推奨されています1)。ただし現在の保険適用上は,他の画像診断を先行した上で,転移・再発の診断確定ができない際にFDG-PET検査を行うことが求められており,注意が必要です。

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