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糖尿病関連の遺伝子とオーダーメイド医療の可能性 【2型糖尿病関連のゲノム領域は200箇所以上同定されているが,まだ圧倒的に情報不足。precision medicine initiativeなどによる情報蓄積に期待】

No.4907 (2018年05月12日発行) P.54

宇津 貴 (日生病院腎臓内科部長/腎臓・透析センター長)

前田士郎 (琉球大学医学部先進ゲノム検査医学講座教授)

登録日: 2018-05-09

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  • 糖尿病関連の遺伝子はどこまでわかってきたのでしょうか。また,個々の遺伝子に合わせた医療は実現可能でしょうか。琉球大学・前田士郎先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    宇津 貴 日生病院腎臓内科部長/腎臓・透析センター長


    【回答】

    2003年にヒトゲノムプロジェクトが完了した後,ヒトゲノム解析研究は飛躍的な進歩を遂げています。1塩基多型〔single nucleotide polymorphism(variation):SNP(SNV)〕などのゲノム情報整備,解析技術の進歩により,全ゲノム領域を網羅したゲノムワイド関連(相関)解析(genome-wide association study:GWAS)が可能となっています。2006年に欧米人でTCF7L2が,2008年に日本人でKCNQ1領域が強力な2型糖尿病関連ゲノム領域として同定され,その後も全世界でGWASは精力的に展開されています。

    2型糖尿病に関しては,2017年末時点で既に200箇所を超える関連ゲノム領域が同定されています。このゲノム情報を用いた発症リスク診断も試みられていますが,すべての情報を統合しても,2型糖尿病の遺伝要因の1~2割程度しか説明できないとされています。現時点ではまだまだ情報が不足していることから精度の面で課題はありますが,情報がさらに蓄積されれば,個人に最適の予防法を講じるいわゆる個別化予防(personalized prevention)が可能になると期待されます。しかしながら,生活習慣病である2型糖尿病ではゲノム情報単独で個別化予防に十分な情報になるとは考えにくく,今後は生活習慣等の環境要因との相互作用解析によりさらに精度の高い情報にしていくことが重要と考えられています。

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