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原発性アルドステロン症[私の治療]

No.5215 (2024年04月06日発行) P.42

佐田健太朗 (大分大学医学部内分泌代謝・膠原病・腎臓内科学講座)

柴田洋孝 (大分大学医学部内分泌代謝・膠原病・腎臓内科学講座教授)

登録日: 2024-04-04

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  • 原発性アルドステロン症(primary aldosteronism:PA)は,副腎からのアルドステロンの自律・過剰分泌により腎尿細管でのナトリウム(Na),水の再吸収およびカリウム(K)排泄の亢進,循環血漿量増加を生じ,結果としてレニン抑制,低カリウム血症,高血圧を呈する代表的な二次性高血圧である。高血圧患者におけるPAの頻度は,プライマリ・ケア施設で3~12%,専門施設で5~29%と高く,本態性高血圧と比べ,脳・心血管,腎合併症の頻度が高い。

    ▶診断のポイント

    【スクリーニング】

    PAの有病率が高い高血圧患者(低カリウム血症合併,治療抵抗性高血圧,40歳未満での高血圧発症,未治療時150/100mmHg以上の高血圧,副腎腫瘍合併,若年での脳卒中発症,睡眠時無呼吸症候群合併)において,早朝~午前中に安静坐位にて末梢静脈採血を行い,血漿アルドステロン濃度(PAC)と血漿レニン活性(PRA)または活性型レニン濃度(ARC)によるPAのスクリーニングが推奨される。PAC/PRA比≧200(PAC/ARC比≧40)かつPAC≧60pg/mLで陽性と判定する。ただし,PACのRIA法からCLEIA法への測定法変更に伴い,至適カットオフ値が確立するまでは,PAC/PRA比100~200(PAC/ARC比20~40)かつPAC≧60pg/mLも境界域として暫定的に陽性と判定する(CLEIA法の実測値で判定する)。

    降圧薬の種類により偽陽性や偽陰性を呈する可能性があるため,カルシウム拮抗薬やα遮断薬への変更後のスクリーニング実施が推奨されるが,大半のPA症例では降圧薬の影響が少ないことから,降圧薬の変更や休薬を行わずに,スクリーニング検査での判定が可能である。

    【機能確認検査】

    スクリーニング陽性の場合,機能確認検査を行う。カプトプリル負荷試験,生理食塩水負荷試験,フロセミド立位試験,経口食塩負荷試験のうち,1種類の陽性でPAと診断する。

    【病型・局在診断】

    機能確認検査でPAと診断した場合,副腎静脈サンプリング(AVS)を実施し,病型・局在診断(片側性PAと両側性PAの判定)を行う。コルチゾール自律性分泌(Cushing症候群あるいはsubclinical Cushing症候群)が合併した場合,AVSの診断や治療方針に影響するため,CTで副腎腫瘍を認める場合は,1mgデキサメタゾン抑制試験の実施が推奨される。

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