27年ぶりの改訂となる世界保健機関(WHO)の疾病分類(ICD–11)へのアジア伝統医学の導入に尽力するなど日本漢方医界のトップランナーの1人として活躍する。漢方の可能性を様々な角度から追求する渡辺さんは、増大する医療費の抑制にも漢方は有効と強調する。「例えばインフルエンザは漢方の得意分野。抗インフルエンザ薬の代わりに麻黄湯を300万人が使えば90億円の削減につながるという試算があります」
漢方の定義には薬物療法に限らず鍼灸や養生までが含まれ、その観点から「未病」対策にも注力する。未病とは漢方の考え方の1つで、病気になる前の状態。健康寿命を伸ばすには「未病を治す」ことが重要だ。昨年1月に「未病を治すかながわ宣言」を公表するなど、健康寿命日本一を目指す神奈川県の黒岩祐治知事と組み、県西地域を中心に未病対策に取り組む。「医療は社会サービスの1つ。社会の動きと連動したあり方を探るべき。医療費抑制と健康寿命延伸につながる漢方が果たす役割は大きいと確信しています」と語る。
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