【質問者】
黨 康夫 同愛記念病院アレルギー呼吸器科部長
【自然リンパ球を介した機序が新たに報告。抵抗性か否かを見きわめ,生物学的製剤などにより症状の軽減を図る】
喘息におけるステロイド抵抗性の定義として,臨床的には「中~高用量の吸入ステロイド(フルチカゾン500μg/日以上またはブデソニド800μg/日以上)および長時間作用性β刺激薬・ロイコトリエン受容体拮抗薬・テオフィリン徐放製剤を用いてもコントロール不十分で,増悪を年2回以上きたすような症例」をステロイド治療抵抗性の重症喘息ととらえることができます1)。しかし臨床の場において,真のステロイド抵抗性か見きわめるには,①吸入薬の使用量やデバイスの選択,②デバイスの使用法,服薬アドヒアランス,③喘息に関係する環境因子の影響,④合併症・並存症の存在,⑤喘息以外の疾患の可能性,を検討すべきと考えられます2)。
喘息におけるステロイド抵抗性の機序は,①遺伝的因子〔glucocorticoid-induced transcript 1 gene(GLCCl1)など〕,②グルココルチコイド受容体(GR)α機能異常,③GRβ発現亢進,④ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)2活性低下,⑤転写因子活性化,⑥リンパ球による修飾, に大別されます。近年,特にリンパ球の中でも,自然リンパ球(innate lymphoid cell:ILC:)を介したステロイド抵抗性のメカニズムが報告されています3)。
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