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注射剤によるアナフィラキシーに係る医療事故の再発防止策[医療安全情報UpDate]

No.4893 (2018年02月03日発行) P.16

登録日: 2018-02-01

最終更新日: 2018-02-01

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  • 医療事故調査制度の第三者機関「医療事故調査・支援センター」に指定されている日本医療安全調査機構は1月18日、注射剤によるアナフィラキシーに係る医療事故の再発防止策を公表した。あらゆる薬剤で発症しうることを認識するなど6つの提言を示した。事故調により収集された事例に基づき再発防止策がまとまるのは3回目。

    ■5分以内に出現、アドレナリン0.3mg筋肉内注射を
    事故調がスタートした2015年10月1日から2年間に報告された院内調査結果報告書476件のうち、機構の専門分析部会が死因をアナフィラキシーと推定あるいは否定できないとした12例が分析の対象。
    12例は全て注射剤によるもので、造影剤4例、抗菌薬4例、筋弛緩薬2例、蛋白分解酵素阻害薬1例、歯科用局所麻酔薬1例。過去に複数回安全に使用した薬剤でも致死的なアナフィラキシーショックが見られた。
    10例は症状の出現が5分以内で、医薬品、静脈内注射によるアナフィラキシーは発症から急変までの時間が短い特徴があった。その症状は、ふらつき、喉の痒み、しびれ、嘔気、息苦しさ、くしゃみや体熱感の自覚症状があった。また、静脈内注射後に血管の走行に沿った発赤、両手背から前腕や、顔から首にかけての紅潮、眼球上転、痙攣等が観察された。麻酔事例では急速な換気困難や薬剤投与後に皮膚が赤黒く変化、心電図上STの上昇等、様々な症状が出現し、その後20分以内で不可逆的な状態に陥っていた。対象事例でいわゆる蕁麻疹のような膨隆疹が出現した事例はなく、アナフィラキシーの診断に皮膚症状は必須ではないことも明らかとなった。
    こうした分析の上で提言では、薬剤投与開始から5分以内に容態が変化した場合はアナフィラキシーを疑い、直ちに薬剤投与を中止し、アドレナリン0.3mg(成人)をためらわずに大腿前外側部に筋肉内注射する必要性を強調した。

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