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高齢CKD患者における骨粗鬆症の治療戦略 【予防・治療対象の病態を明確にし,残腎機能と将来の透析導入,腎移植を視野に薬剤の選択を考慮】

No.4846 (2017年03月11日発行) P.58

横尾 隆 (東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科教授)

深川雅史 (東海大学医学部内科学系腎内分泌代謝内科教授)

登録日: 2017-03-08

最終更新日: 2017-03-07

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  • 高齢の慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)患者は,骨粗鬆症を合併する頻度が高く,積極的な対応が必要になる症例が多くみられます。現在複数の作用機序の異なる治療薬が開発されていますが,高齢のCKD患者に対する投薬のコツ,ピットフォールについて東海大学・深川雅史先生にご教示頂きたいと思います。

    【質問者】

    横尾 隆 東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科教授


    【回答】

    (1)骨粗鬆症とは
    「骨強度の低下を特徴とし,骨折のリスクが増大しやすくなる骨格疾患」と定義され,骨強度は70%を骨密度で,30%を骨質で説明できるとされています。確かに,CKD患者の骨強度は,透析患者の骨折率のデータでもわかるように,健常人より低下していることは確かですが,骨密度との関係は,必ずしもきれいには出ないので,骨質の劣化の役割も大きいと考えられます。

    (2)CKD患者の骨病変と治療のポイント
    骨形成を増やし,骨吸収を抑え,その結果骨密度を増やすということが第一の目標ですが,CKD患者の場合はそう単純ではありません。CKD患者の骨病変には,3つの要素があります。

    1つ目は,最近の透析導入時年齢の平均は,65歳を超えていますので,当然加齢に伴う骨粗鬆症は既に存在します。

    次は,骨回転に依存する異常です。CKDでは,放置すると二次性副甲状腺機能亢進症が起こり,高回転骨になり,骨密度は減少します。最近では,活性型ビタミンD製剤だけでなく,カルシウム受容体作動薬も使えるようになったので,この管理は以前より容易になっています。一方で,CKD患者では骨の副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone:PTH)に対する抵抗性があるので,基準値まで抑えると,低回転骨を生じ,現在ではこちらのほうが多くなっています。低回転骨は,骨密度低下に関しては有利ですが,微細骨折の修復遅延や,骨のカルシウム緩衝能の低下などが生じます。

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