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■NEWS 医療関係職種の賃上げ、2年間で4.5%のベースアップが目標―診療報酬改定で厚労省が説明

No.5213 (2024年03月23日発行) P.70

登録日: 2024-03-14

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厚生労働省は35日、2024年度診療報酬改定を告示し、関係通知を発出した。同時に公開した動画では、主な改定内容について解説。このうち看護職員等の医療関係職種の賃上げについて、「ベースアップ評価料」による措置に加え、それ以外の収入や賃上げ促進税制を組み合わせることで24年度に2.5%、25年度に2.0%のベースアップを目指す―との方針を改めて説明した。

今回新設される「ベースアップ評価料」と既存の「看護職員処遇改善評価料」は、24年度以降、賃上げ促進税制の対象となる給与等支給額に含めることが可能。これにより、医療機関の規模と、給与等支給額の前年度比に応じて法人税(個人立の場合は所得税)の税額控除を受けられるようになる。

具体的には、中小規模(「中小企業者等」または従業員数1000人以下の個人事業主)の医療機関(医療法人立、個人立)の場合、全雇用者の給与等支給額が前年度比で+1.5%なら税額控除率は15%、+2.5%なら30%がそれぞれ適用される。

同様に、中規模(従業員数2000人以下)や大規模の医療機関の場合は、継続雇用者の給与等支給額の前年度比に応じて10%から25%の税額控除が受けられる。

その上で、教育訓練費の増加や子育てとの両立・女性活躍への支援などの上乗せ要件を満たせば、中小規模で最大45%、中規模や大規模でも最大35%の税額控除を受けられることを説明した。

ただ、控除額は法人税額等の20%が上限。最長5年間の繰越控除措置が設けられたとはいえ、赤字や経常利益率が12%の医療機関が多い現状で、賃上げ促進税制の効果はなお限定的となる可能性がある。

「評価料(Ⅱ)」等の届出は保険診療等による収入80%超が条件

全医療機関が対象の「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)」は、対象職員(看護師、病院薬剤師等)の基本給等を23年度と比較して一定水準以上引き上げると、同評価料で40歳未満の勤務医や事務職員等の賃金改善も行うことができる。今回、その水準について、23年度に比べて24年度に2.5%以上、26年度に4.5%以上引き上げた場合とすることが明らかになった。

無床診療所で「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)」による賃上げ改善率が1.2%未満の場合に算定する「同評価料(Ⅱ)」と、病院と有床診療所で「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)」による賃上げ改善率が2.3%(ベースアップ評価料によるベアの目標値)に満たない場合に算定する「入院ベースアップ評価料」は、所定の計算式を用いて該当する評価区分を判定し、地方厚生局等へ届出を行う必要がある。今回、その施設基準として「社会保険診療等による収入金額の合計額が総収入の80%超」を満たさなければならないことも示された。

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