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「生活習慣病管理料」見直しで慢性疾患診療が減収へ─2024年度診療報酬改定【まとめてみました】

No.5210 (2024年03月02日発行) P.14

登録日: 2024-03-04

最終更新日: 2024-02-28

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中央社会保険医療協議会は2月14日の総会で、2024年度診療報酬改定案を武見敬三厚生労働相に答申した。24年度改定では、医療関係職種への処遇改善(賃上げ)にプラス改定の財源を一部充当するため基本診療料の引上げが行われる。その一方で、生活習慣病の管理などで効率化・適正化が図られた。クリニックの診療・経営に影響する個別項目の見直しのポイントを解説する。

医療関係職種の処遇改善では、「40歳未満の勤務医、勤務歯科医、薬局の勤務薬剤師、事務職員、歯科技工所等で従事する者」の賃上げに資する評価を行う。40歳未満の若手医師は、大学病院や急性期病院などでの勤務に加え、関連病院やクリニックで非常勤の勤務を行うことも多く、どの医療機関が処遇改善を行うことが適切かという判断が難しいという観点から、基本診療料(初・再診料、入院基本料等)を引き上げることで対応する。

初診料は対面診療が現行の288点から291点の3点増、再診料は73点から75点の2点増となる。情報通信機器を用いた場合は、初診料が251点から253点に、再診料は対面と同水準の73点から75点に引き上げられる。

入院基本料も引き上げられる。「一般病棟入院基本料」の急性期一般1は現行の1650点から1688点となり38点の引上げとなる。「有床診療所入院基本料1」は、14日以内が現行の917点から932点に、15〜30日が712点から724点に、31日以上が604点から615点にそれぞれ引上げとなる。

処遇改善で初診時6点、再診時2点増

処遇改善ではこのほか、外来医療や在宅医療を実施している医療機関(医科)を対象に、勤務する看護師や薬剤師などの医療従事者の賃金改善を実施している場合の評価として「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)」を新設。1日につき初診時は6点、再診時は2点、訪問診療時の同一建物居住者以外に訪問診療を行った場合は28点、同一建物居住者に訪問診療を行った場合は7点を算定できる。基本給など決まって毎月支払われる手当の引上げでの改善を原則とすることや、2024年度と25年度において当該保険医療機関に勤務する職員の賃金改善計画を作成し地方厚生局に報告することなどが求められる。同評価料(Ⅰ)は看護師や薬剤師などが対象で、医師や専ら事務作業(医師事務作業補助者、看護補助者等が医療を専門とする職員の補助として行う事務作業は除く)を行う職員は対象外となる。ただし、対象職員の基本給を2023年度と比較して一定水準引き上げた場合は、同評価料で40歳未満の勤務医や事務職員等の賃金改善を行うことができる。この水準については現在調整中で、厚労省保険局医療課によると3月5日の通知で明示される見込みだ。

無床診療所と訪問看護ステーションは1.2%、病院と有床診療所は2.3%を賃上げの最低ラインとし、同評価料(Ⅰ)を算定してもこの基準に達しない医療機関を救済するため、無床診療所を対象にした8段階の「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)」と病院・有床診療所を対象にした165段階の「入院ベースアップ評価料」も新設。同評価料(Ⅰ)と併算定可能とする。常勤換算で対象職員が2人以上勤務している医療機関が対象となるが、特定地域では人数要件は満たしているものとする。

医療DX推進で診療情報取得・活用を評価

医療DXについては、オンライン資格確認等システムを通じ患者情報の取得・活用を促すための見直しが行われる。オン資確認により取得した診療・薬剤情報などを診療に活用できる体制を整備する評価として「医療DX推進体制整備加算」(8点)を新設する。オン資確認の実施体制や電子カルテ情報共有サービスを活用できる体制を有していること、電子処方箋の発行体制、マイナンバーカード健康保険証の一定の利用実績などが求められる。

生活習慣病管理料(Ⅱ)は333点

24年度改定でクリニックへの影響が大きいと考えられる改定項目は、生活習慣病に関する管理料の再編だ。生活習慣病を巡っては、昨年末の閣僚折衝における「管理料、処方箋料等の再編等の効率化・適正化」によって診療報酬を0.25%(医療費ベースで約1200億円)引き下げるとの決定を踏まえ、①「特定疾患処方管理料」の対象疾患から生活習慣病(脂質異常症、高血圧、糖尿病)を除外、②検査等の費用を包括した現行の「生活習慣病管理料」を「生活習慣病管理料(Ⅰ)」に名称変更した上で、検査等を包括しない出来高算定可能な「生活習慣病管理料(Ⅱ)」を新設、③処方料・処方箋料の「特定疾患処方管理加算」の対象疾患からも生活習慣病を除外し、28日未満の処方時に算定する加算1を廃止、28日以上の処方かリフィル処方箋を発行した場合にのみ算定可とする─などの見直しが行われる。

生活習慣病管理料(Ⅰ)は、主病が脂質異常症の場合は570点から610点に、高血圧症の場合は620点から660点に、糖尿病の場合は720点から760点に評価が引き上げられるが、月に1回以上総合的な治療管理を行う要件が廃止され、28日以上の長期投薬やリフィル処方箋の交付が可能であることの院内掲示などが必須となる。

これまで生活習慣病の医学管理を行った場合に特定疾患療養管理料を算定していた医療機関は、生活習慣病管理料(Ⅱ)の333点を算定することが見込まれるが、管理料(Ⅱ)が算定できるのは月1回で外来管理加算(52点)の併算定もできず、特定疾患処方管理加算の算定もできなくなるため、減収となるケースが大半を占めることになりそうだ。

 

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