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遠位悪性胆道狭窄に対するメタリックステントの選択について

No.5173 (2023年06月17日発行) P.57

竹中 完 (近畿大学医学部消化器内科特命准教授)

土井晋平 (帝京大学医学部附属溝口病院消化器内科教授)

登録日: 2023-06-16

最終更新日: 2023-06-14

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  • 遠位悪性胆道狭窄に対するメタリックステントの選択についてご教示下さい。
    帝京大学医学部附属溝口病院・土井晋平先生にご回答をお願いします。

    【質問者】竹中 完 近畿大学医学部消化器内科特命准教授


    【回答】

     【covered SEMSのうち屈曲への追従性の高いaxial forceの弱いステントが第一選択となる】

    胆道狭窄に対するメタリックステントは,最近では形状記憶効果を持つナイチノールが採用され,生体内で自己拡張するステント(self-expandable metallic stent:SEMS)が広く普及しています。

    SEMSはプラスチックステントと比べて口径が大きいため長期の開存が期待でき,膵癌や胆管癌などの悪性胆道狭窄に主に使用されます。メッシュの密度が高いほど拡張力(radial force:RF)が強くなりますが,直線化する力(axial force:AF)も相対的に強くなり,胆管の屈曲に追従できない現象(キンク)の要因になります1)。両者にはある程度の相関関係がありますが,最近では,RFを損なわずAFを最小限にするように工夫したステントが開発されています。

    ステント留置後に胆道閉塞症状が再発することをrecurrent biliary obstruction(RBO)と言います。RBOの原因には,tumor ingrowth(腫瘍がメッシュ間隙から増殖),overgrowth(ステント端を超えて腫瘍が増殖),胆泥などによる閉塞のほか,ステント逸脱なども挙げられます2)。このうち,tumor ingrowthを防ぐことを目的として,テフロンやシリコンなどの膜でメッシュを被覆したcovered SEMSが開発されました。covered SEMSはuncovered SEMSと比べてステント逸脱のリスクが高くなるため,どちらがRBO全体を防ぐのに優れているか完全には結論が出ていません。

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