日本では現在、5種類のGLP-1受容体作動薬(GLP-1-RA)が使用可能だが、薬剤間で日本人における有効性や安全性に差はあるのだろうか。そのような観点から興味深いランダム化比較試験が、J Diabetes Investig誌に3月5日付けで公開されていた。概要を紹介したい。
検討対象は、横須賀共済病院にてリラグルチド(0.6、0.9mg/日)で加療中の2型糖尿病32例である。平均年齢は62.1歳、リラグルチド使用期間は15.2カ月、HbA1cは6.4%だった。
これら32例はリラグルチドを中止の上、セマグルチド(0.25→0.5mg/週)群とデュラグルチド(0.75mg/週)群にランダム化され26週間追跡された(各群16例ずつ)。なお期間中、試験薬以外の血糖降下治療に変更はない。
その結果、デュラグルチド群では、「HbA1c」(1次評価項目)、「体重」とも切り替え前と有意な変化がなかったのに対し、セマグルチド群では「HbA1c」が0.42%有意に低下、また「体重」も2.6kgの有意減少を認めた。
一方、心拍数はセマグルチド群で有意に増加したのに対し(5.0拍/分)、デュラグルチド群では有意に低下していた(△2.5拍/分)。また腎機能指標は、両群間に有意差を認めなかった。
次に安全性だが、有害事象発生率はデュラグルチド群18.8%(3例)に対し、セマグルチド群では75.0%(12例)だった(検定なし)。
有害事象の詳細を見ると、セマグルチド群では「味覚障害を伴う食欲減退」が最多(6例)、次いで「下痢」と「便秘」だった(いずれも4例)。一方、デュラグルチド群では「便秘」が2例、「下痢」が1例だった。有害事象に起因する薬剤中止は、セマグルチド群の1例のみだった(嘔吐を伴う体重減少)。なお、これら有害事象に関する考察は示されていない。
本研究は外部からの資金提供を受けていないとされる。