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「モンスターハンター」:小嶋氏との話[エッセイ]

No.5148 (2022年12月24日発行) P.66

岡本洋幸 (在パキスタン日本国大使館医務官)

登録日: 2022-12-25

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カプコン社でゲームソフトである「モンスターハンター」の作成に関わった小嶋氏と会食をした。その際、以下の話が聞けました。

小嶋氏は、「モンスターハンター」に登場するモンスターの制作に際して、古代の恐竜から現在の生物以外にも、植物など幅広く動植物の生態を調べたそうです。実在する恐竜のラプトルやT-REXのようなリアルでストレートなモンスターもいれば、身体に爆発する粘菌を共生させている生物と粘菌を組み合わせた発想のモンスターもいるそうです。それぞれの生き物の特性を組み合わせることで斬新なモンスターをつくることができたそうです。

たとえば古生代(約2億9890万〜2億5190万年前)には、過去最大とされる地球規模の大量絶滅(全生物の90%以上)が起きました。酸素濃度は、初期には35%でしたが、ジュラ紀(中生代約2億5217万〜約6600万年前)には、12%に低下しました。中生代後期には生物の75%が絶滅しました。繁栄した恐竜もついには絶滅しました。隕石の衝突により日光が遮られ、光合成ができなくなった多くの植物が絶滅したという説があり、植物を食べていた草食恐竜など、その草食恐竜を食べていた肉食恐竜も絶滅しました。それまでは体を大きくすることが有利に働いていましたが、食べ物が少ない環境では逆に不利になりました。当時、哺乳類の大きさはラット程度と小さく、そのおかげで環境変化からうまく逃れることができた、という説があります。

一方、最後の恐竜絶滅は、生き残った生物に進化の機会を与え、その後の繁栄につながりました。

現在、コロナ下で厳しい環境にあります。また、ゲーム業界もゲームを出せばなんでも売れる時代ではなく、ゲームを制作する時間もコストも増加の傾向にあります。ゆえに、人気が出たタイトルを創意工夫してシリーズ化し、続編を出すことが多くなりました。そういうタイトルがありつつも、環境や時代に合わせチャレンジブルな新規IPがまだまだ世に出てくるゲーム業界です。そういう挑戦を自身でもしていきたいそうです。

◎岡本の見解

医療の世界もコロナによる移動制限もあり、ネット会議などで世界の医療従事者の講演などがしやすくなりました。もしかしたら、このコロナや、戦争の不安も私たちが大きな進化をするトリガーになるのかもしれません。しかし、それは常に学び努力するものにのみもたらされます。


※小嶋氏は、「モンスターハンター」シリーズに第1作から携わり、「モンスターハンタークロス」では、メインプロデューサーを務めた。1998年にカプコン入社、2019年退社した。現在はフリーで活躍中。

※なお、本記事は個人の見解であり、所属する団体の見解ではありません。

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