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腟トリコモナス症の効果的な治療は?

No.4972 (2019年08月10日発行) P.57

岩破一博 (京都府立医科大学医学部看護学科医学講座 産婦人科学教授)

登録日: 2019-08-10

最終更新日: 2019-08-06

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78歳,女性。身長130cm,体重40kg。22歳頃に統合失調症を発症し,他院を経て当院(精神科専門病院)に入院。歩行不可能,寝たきり,オムツ使用。統合失調症欠陥状態の患者です。
腟トリコモナス症を発症したため,下記のように,4回にわたりメトロニダゾール(フラジール®)250mg1回1錠1日2回内服を10日間,腟錠250 mgを12日間投与していますが,十分効果が得られません。効果の期待できる治療指針や対応の方法,特に他の患者への感染予防対策についてご教示をお願いします。また,トリコモナス症罹患者に何か特徴があるのでしょうか。
【治療内容】
2018年9月19日夕食後~
フラジール®内服錠(250mg)1回1錠1日2回(朝・夕食後)10日分
2018年12月12日夕食後~
フラジール®内服錠(250mg)1回1錠1日2回(朝・夕食後)10日分
2019年2月27日夕食後~
フラジール®内服錠(250mg)1回1錠1日2回(朝・夕食後)10日分
フラジール®腟錠(250mg)1錠/回12日分
2019年4月3日夕食後~
フラジール®内服錠(250mg)1回1錠1日2回(朝・夕食後)10日分
フラジール®腟錠(250mg)1錠/回12日分

(神奈川県 N)


【回答】

【まずはメトロニダゾールからチニダゾールへ薬剤を変更する】

治療後に検査が陽性になった場合・治療失敗例の多くは,内服薬を指示通り服用していないか,パートナーからの再感染が考えられますが,この患者では考えにくく,難治性トリコモナス症であると思います。

効果の期待できる治療指針や対応の方法1)2)としては,以下の通りです。

(1)難治性トリコモナス症の治療

①メトロニダゾールからチニダゾール(チニダゾール®錠500mg「F」通常成人2000mgを1回経口投与)への変更を試みる3)
治癒できなければ,

②海外の初回治療であるメトロニダゾール(フラジール®内服錠250mg)4錠分2,7日間内服にて再治療する。
治療できなければ,培養検査と感受性検査を行う。

③メトロニダゾール(フラジール®内服錠250 mg)8錠,単回投与を24時間おきに3~5日間,試みる。

また,腸管アメーバの適応のパロモマイシン(アメパロモ®カプセル250mg)1500mg分3,10日間,食後に経口投与,ドキシサイクリン(ビブラマイシン®錠)400mg分2,7日間投与での治癒報告例がありますが,このような治療は性感染症治療に十分な経験のある医師のもとなされることが勧められています。

メトロニダゾールの再投与を行う場合に,注射薬の使用は可能かとの質問を受けますが,内服薬の腸管からの吸収率は90%以上なので,注射薬に切り替えるメリットはありません。

(2)感染予防対策

他の患者への感染予防対策としては,浴槽,便器,下着,浴用タオルなどに付着した帯下(たいげ)も感染源となるので注意して取り扱う必要があります。

(3)トリコモナス症罹患患者の特徴

トリコモナス症罹患患者の特徴として,淋菌感染症および他の性感染症(sexually transmitted disease:STD)との同時感染がよくみられます。

(4)CDCの特設サイト

米国疾病管理予防センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)の「2015年性感染症治療ガイドライン」4)では,CDCが難治性トリコモナス症の治療を支援するための電話相談窓口とwebサイト5)を設けていることを紹介しています。

【文献】

1) 岩破一博:臨と研. 2016;93(9):1213-5.

2) 日本性感染症学会:日性感染症会誌. 2016;27(1): 76-8. [http://jssti.umin.jp/pdf/guideline- 2016.pdf#page=76]

3) Workowski KA, et al:MMWR Recomm Rep. 2015; 64(RR-03):1-137.

4) Centers for Disease Control and Prevention: 015 Sexually Transmitted Diseases Treatment Guidelines.
[https://www.cdc.gov/std/tg2015/trichomoni-asis.htm]

5) Centers for Disease Control and Prevention: Infectious Diseases Laboratories.
[https://www.cdc.gov/laboratory/specimen-sub mission/detail.html?CDCTestCode=CDC-10239]

【回答者】

岩破一博 京都府立医科大学医学部看護学科医学講座 産婦人科学教授

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