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FREED試験はフェブキソスタットのイベント抑制作用を証明したか?─正しい解釈と他の試験との一貫性[J-CLEAR通信(97)]

No.4934 (2018年11月17日発行) P.46

谷 明博 (加納総合病院循環器内科部長,J-CLEAR評議員)

登録日: 2018-11-16

最終更新日: 2018-11-14

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1 FREED試験の概略

今回2018年8月の欧州心臓病学会(ESC)で発表され「高尿酸血症治療薬を用いてイベント抑制を示した世界初の研究」と評価されたFREED試験1)について,その結果の正しい解釈を行い,その上で他の尿酸関連試験との対比を行い考察した。

FREED試験は,フェブキソスタット(フェブリク®)の高尿酸血症患者における脳心腎血管関連イベント発現の抑制効果を明らかにするために国内で行われた臨床試験である。本試験の概略を述べる。

対象は,脳心腎血管疾患リスクを有する65歳以上の高尿酸血症患者。方法は,フェブキソスタット投与群(537例)とフェブキソスタット非投与群(533例,血清尿酸値上昇に対して主治医によるアロプリノール100mg投与を検討)にランダムに割り付け,3年間追跡。主要評価項目は,脳心腎血管関連イベント(表1の各項目の複合エンドポイント),副次評価項目は表1の各項目。

結果は,主要評価項目のハザード比は,フェブキソスタット投与群で有意に低くなっていた(図1)〔23.3% vs. 28.7%,ハザード比(HR):0.750,95%信頼区間(CI):0.592~0.950,P=0.017〕。

次に副次評価項目についてであるが,腎機能障害の発生は,フェブキソスタット投与群で87例(16.2%),非投与群で109例(20.5%)と,フェブキソスタット投与群で25.5%有意に低かった(HR:0.745,95%CI:0.562~0.987,P=0.041)。

一方,脳心血管系のハードエンドポイント(死亡・脳血管障害・心筋梗塞/不安定狭心症)の発生率は低下していたものの,フェブキソスタット投与群:4.3%,非投与群:4.9%で,両群のリスクに統計学的な差は得られなかった(HR:0.861,95%CI:0.492~1.506,P=0.600)(表1)。
  

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