日本高血圧学会は総会最終日の16日に旭川市で会見を開き、「みらい医療計画」を発表した。高血圧の国民を今後10年間で700万人減らし、健康寿命を延伸するとの目標を掲げている。
この計画は、心血管病の最大の原因である高血圧の克服を目指して立てたもの。700万人減少の実現可能性について、同日、新理事長に就任した伊藤裕氏は「現在、降圧目標に到達している高血圧患者は約2割。これを3~4割に引上げれば実現できる数値目標だ」と説明している。
数値目標を実現するための施策の柱は、①医療システム:生涯にわたる高血圧診療システム(ライフタイムケア)の構築、②学術研究:高血圧研究の推進と「みらい医療」の実現、③社会啓発:国民が血圧管理に自ら取り組む社会づくり―の3つ。
伊藤氏は、3つの柱のうち社会啓発に「最も力を入れたい」と述べた上で、「高血圧が制圧されたモデルタウンをつくりたい。これはスローガンではなく、実際に協力してくれる自治体を募り、学会が集中的に介入して、自治体や住民、学校などを巻き込んで、その町から高血圧をなくす。これは町おこしになると思う」と意気込みを語った。年内にも全国の自治体に構想を投げかけ、最終的には1~2カ所の自治体と協力して活動を開始したいとしている。