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涙嚢炎

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-24
白石 敦 (愛媛大学医学部眼科学教室教授)
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  • ■疾患メモ

    涙嚢炎は,涙道通過障害により細菌感染を起こした炎症性疾患であり,通常は片側性であるが時に両側性に認める。

    涙道通過障害の原因は先天性と後天性があり,涙嚢炎の病態としては急性型と慢性型にわけられる。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    先天鼻涙管閉塞:生下時直後から流涙と眼脂を認める。

    慢性涙嚢炎:持続する流涙と眼脂を認め,難治性の慢性結膜炎を合併することが多い。

    急性涙嚢炎:涙嚢部に急速に出現する発赤,腫脹を認め,疼痛を伴う。涙道周囲への炎症の波及による蜂巣炎を合併することが多い。

    【検査所見】

    〈先天鼻涙管閉塞〉

    涙嚢部圧迫により貯留物の逆流がある。

    色素残留試験は陽性である。

    涙管通水検査にて分泌物の逆流を認め,通常は通水不可である。

    〈慢性涙嚢炎〉

    涙嚢が腫脹している場合は,涙嚢部圧迫による貯留物の逆流がある。

    細隙灯顕微鏡検査:涙液メニスカスが高く,涙液に分泌物を認める。

    涙管通水検査:通水がなく,膿の逆流を認める。

    涙道内視鏡検査:涙嚢が拡張し,閉塞部位はピンホール状に認められることが多い。

    涙道造影検査(X線,CT):涙嚢の拡張と鼻涙管の閉塞,鼻腔への造影剤流出なし。

    〈急性涙嚢炎〉

    問診:慢性涙嚢炎が急性増悪した状態が多く,慢性涙嚢炎の既往を確認する。

    視診:視診にて涙道部の発赤と腫脹を認める。経過が長い場合には自壊して排膿を認めることもある()。

    17_19_涙嚢炎

    眼瞼~涙嚢部の急性炎症である麦粒腫,化膿性霰粒腫や粉瘤などとの鑑別が重要であり,消炎後に慢性涙嚢炎に準じた検査を行う。

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