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最近のrefeeding syndromeの予防薬【2013年より経口無機リン製剤が保険適用に】

No.4899 (2018年03月17日発行) P.49

戸田健太 (国立国際医療研究センター国府台病院心療内科)

河合啓介 (国立国際医療研究センター国府台病院心療内科診療科長)

登録日: 2018-03-16

最終更新日: 2018-03-13

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“refeeding syndrome(RS)”とは,神経性やせ症(anorexia nervosa:AN)のように高度に低栄養状態にある患者が,栄養,特に糖質を急激に摂取することで,体液,電解質の分布異常を引き起こし,心停止,痙攣,昏睡などの重篤な合併を引き起こす病態の総称である。そのメカニズムは,高度な低栄養状態ではミネラルやビタミンは不足しており,糖質の投与で低リン血症,低カリウム血症,低マグネシウム血症,ビタミンB1欠乏症状が著明になり,種々の症状が出現する。特に脳,心臓,筋肉の障害が著明である。

血清無機リン濃度はRSの発症予測や治療経過を判断する良い指標となる。NICEでは,BMI 16 kg/m2未満や血清カリウム,リン,マグネシウム低値はRS発症の高リスク因子と言われている1)

従来は無機リン補充を栄養補助剤2)や点滴で行っていたが,ANではその方法に強い拒否を示すことがあった。2013年より経口無機リン製剤の使用が保険適用となり,ANにおいても比較的抵抗が少なくリン補正が可能となり,投与する総エネルギー量も早期より増量が可能となった3)。臨床経験では血清リン濃度約1mg/dL上昇に,ホスリボンが1日約0.9g必要である。

【文献】

1) National Institute for Health and Clinical Excellence(NICE)ガイドライン. [https://www.nice.org.uk/guidance/cg32]

2) 山下さきの, 他:静脈経腸栄養. 2014;29(6):1379-83.

3) Peebles R, et al:J Eat Disord. 2017;5:7.

【解説】

戸田健太*1,河合啓介*2  *1国立国際医療研究センター国府台病院心療内科  *2同診療科長

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