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感染性心内膜炎に対する外科治療の適応と周術期管理【NYHAⅢ~Ⅳ度の急性心不全など5病態が適応。病態により手術待機期間等を考慮】

No.4891 (2018年01月20日発行) P.52

黒部裕嗣 (徳島大学心臓血管外科)

北川哲也 (徳島大学心臓血管外科教授)

登録日: 2018-01-20

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感染性心内膜炎(IE)は,菌血症から弁や組織破壊により心不全,膿瘍や塞栓症をきたす病態である。

外科治療は,①NYHAⅢ~Ⅳ度の急性心不全,②真菌や抗菌薬治療抵抗性細菌による持続する敗血症,③再発性感染,④弁輪部膿瘍や房室ブロック等の伝導路障害,⑤塞栓症の既往があり10 mm長以上の疣贅が残存する等の場合,に考慮される。疣贅のエコー像が淡く,辺縁不整で可動性がある場合は,塞栓症や組織破壊に進展するリスクが高い。画像による術前の脳合併症評価は必須である。脳合併症を非出血性脳梗塞や脳出血で発症した場合のIEに対する急性期手術の判断には苦慮する。前者では2週間以上待機できれば脳病変増悪リスクを10%以下に抑えることができ,脳梗塞巣15~20mm程度であれば早期の手術による脳病変増悪のリスクは低いとされる1)2)。後者,つまり細菌性脳動脈瘤の破裂や出血性脳梗塞では,開心術に伴う出血の増悪を避けるため,少なくとも4週間程度の待機手術が望ましい。

手術方法は,弁破壊が限局している場合には感染・壊死組織を完全に取り除いた上で,弁形成が行われる。高度の弁破壊をきたしている場合には,弁置換術を行い,特に脳出血病変を伴う場合には生体弁を選択する。組織破壊が大きいと弁輪部再建なども考慮される。術後の抗菌薬治療は,炎症反応が消退するまで4~8週間を目安に行う。

【文献】

1) Miura T, et al:Gen Thorac Cardiovasc Surg. 2013;61(10):551-9.

2) Eishi K, et al:J Thorac Cardiovasc Surg. 1995;110(6):1745-55.

【解説】

黒部裕嗣*1,北川哲也*2 *1徳島大学心臓血管外科 *2同教授

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