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病気腎移植に思う[お茶の水だより]

No.4886 (2017年12月16日発行) P.18

登録日: 2017-12-15

最終更新日: 2017-12-14

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▶自身の体験に基づいて書き綴りたい。42歳だった2年前、腎癌が見つかった。腫瘍の大きさは4㎝、転移はなかった。病期Ⅰ期の5年生存率は9割を超えており、死の恐怖は感じなかったが、仮に腎臓を全摘した場合、高齢になった時に片腎の機能が低下する可能性には恐怖を感じた。
▶「いずれ透析治療が必要になることもあるのだろうか」。それは死よりも現実的なリスクに感じられた。最初の病院で医師から「部分切除が技術的に困難な場所に腫瘍がある」と説明を受けた後も、腎臓を残すために必死に情報を集めた。幸いにも、部分切除術で執刀してくれる医師と巡り合うことができ、手術は成功した。
▶手術のために入院した病院の同室に60〜70代と思しき1人の女性がいた。腎不全の夫に腎臓を提供するのだと教えてくれた。女性の術後、麻酔で意識のない女性を子どもたちが病室で迎え、「お母さん、頑張ったね!」と泣きながら称えていた。腎不全患者の家族の苦悩を感じ、胸が詰まった。
▶厚生労働省の先進医療技術審査部会は10月、東京西徳洲会病院が申請した病気腎移植を条件付きで、保険診療との併用を認める先進医療として承認した。来年にも親会議の先進医療会議で審議を行い、ここで承認されれば正式に先進医療として実施されることになる。
▶病気腎移植とは、癌患者から摘出した修復腎を腎不全患者に移植する治療法だ。私はドナーになりうる症例だったからこそ、思う。ドナーの術式が全摘に誘導される懸念を完全に払拭してほしい。そして、レシピエントの健康状態の慎重な経過観察、病気腎移植の有効性・安全性の検証の徹底を実施施設と先進医療会議、厚労省に求めたい。

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