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【マンスリーレクチャー】その場の1分,その日の5分[プライマリケア・マスターコース]

No.4686 (2014年02月15日発行) P.70

名郷直樹 (武蔵国分寺公園クリニック院長)

登録日: 2014-02-15

最終更新日: 2017-09-19

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  • CASE35:DPP–4阻害薬は第一選択薬になるか?

    64歳の女性。糖尿病で外来通院中。ここ1年のHbA1cは7.5%前後であり,メトホルミン750mg/日(分3)を内服している。2年で体重は2kgほど減少し,現在身長155cm,体重54kgである。網膜症,腎症,神経障害は認めない。心筋梗塞,脳卒中の既往や喫煙歴もない。
    いつも通り外来受診後,薬局で薬を受け取る際に薬剤師から以下のように質問されたという。
    「先生から,もう少しHbA1cを下げたほうがいいと言われませんか。体重も増えることなく,低血糖を起こしにくい良い薬があるんですよ」
    その話を聞いた患者は,薬を追加したほうが良いのかどうか相談しようと,再び外来を受診した。

    これまでの診療での対応

     この患者への今後の対応をどうするか,今の時点での皆さんの考えを確認しておこう。

    選択肢
    ①DPP–4阻害薬を処方する
    ②薬の追加は行わない
    ③DPP–4阻害薬は高価なのでメトホルミンを増やす
    ④勉強してから考える

    この時点での患者への説明

    最近,DPP-4阻害薬についての2つのランダム化比較試験がNew England Journal of Medicine誌に発表されており,心血管イベントについてプラセボと比較して統計学的に差がなかったところまではチェックしていた。しかし,現時点で即座に回答が必要な問題ではないため,元の論文まで批判的に吟味したあとに,患者に説明することにした。患者は1週間後の外来予約をして帰宅した。

    残り3,604文字あります

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