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地方病院は「弓折れ矢尽きている」、国主導の偏在対策を【全自病など提言】

登録日: 2017-09-08

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全国自治体病院協議会など5つの病院団体は7日、医師の地域偏在対策として、医師不足地域での勤務実績を医療機関の管理者要件に組み込みことを柱とする提言を公表した。「地方の病院は戦い続け、弓折れ矢尽きている」と地域医療確保の窮状を訴え、国主導による対策の早期実行を求めている。

提言では、人口当たり医師数が同じでも、医療機関へのアクセスの点では都市部と地方で大きな差があり、「実質的には高齢化が進んでいる地方ほど医師は少ない」と指摘。国政選挙の「一票の格差問題」を引き合いに出し、医師の地域偏在を国主導で解消すべきと主張している。

その上で、病院・診療所の管理者となるためには、医師不足地域で一定期間勤務した実績を条件とするよう提案。医師不足地域における受入人数などの調整については、国または全都道府県で組織する協議会で実施し、都道府県が医師本人の意向を反映した勤務地等の調整ができる体制を整えるべきとした。

医師不足地域での医師確保を巡っては、4月に公表された厚労働特別研究班の調査で、地方勤務の意思のある医師が44%いると報告された。この結果に対し、提言では「実態と大きな乖離がある」と違和感を表明し、「重要なことは、実際に医師が来るのか」「対策がなければアンケートは何度行っても意味がない」と批判を加えている。さらに、働き方改革の一環として検討されている時間外労働規制にも触れ、地域偏在の拡大につながりかねないと懸念を示している。

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