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麻しん診断、「地域での情報共有が不可欠」【麻しん・風しん対策推進会議】

No.4867 (2017年08月05日発行) P.16

登録日: 2017-08-01

最終更新日: 2017-08-03

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厚生労働省の「麻しん・風しん対策推進会議」(中野貴司座長)が7月27日に開かれ、大石和徳参考人(国立感染症研究所)は、「麻しん排除認定後の麻しん症例の臨床診断は困難。地域での患者発生情報の共有が不可欠」と指摘した。

日本は2015年、世界保健機関(WHO)から、「麻しん排除国」に認定。土着の麻しんウイルスが存在せず、昨今の麻疹報告は輸入症例に由来している。

同日の会議では、大石氏が2016年以降の麻しんの発生状況を説明した。それによると、昨年8~9月に関西空港内の事業所で集団発生した麻しんでは、輸入例から1人が曝露したのち、2次感染として21人、3次感染で11人が発症した。患者31人のうち26人が修飾麻しん(用語解説)で、そのうちの62%はワクチンを1回以上接種していたという。大石氏は、「修飾麻しんは非典型的で、臨床的に診断が困難。地域での情報共有が不可欠」と指摘した。この報告について構成員は「予防接種を受けていたために修飾麻しん患者が増加してしまったのか」と質問。中野座長が小児科医の立場から、「特定感染症予防指針に基づき、臨床医が麻しんを疑った場合はウイルス検査も実施しているため、軽症例を含めて拾い上げられている。ワクチンを打ったから修飾麻しん患者が増えたということではない」と回答した。

【修飾麻しん】:軽症の不全性麻しん。①通常の麻しんの3症状(38度以上の発熱、全身性の発疹、1つ以上のカタル症状[咳、鼻汁、結膜炎])のうち1つか2つを満たすもの、または、②37度台の発熱または体熱感、限局性の発疹、1つ以上のカタル症状のうち1つ以上を満たすもの。

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