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関節リウマチのドラッグホリデー【安全面,経済面における問題を克服するカギとなるか】

No.4865 (2017年07月22日発行) P.61

田中良哉 (産業医科大学第1内科教授)

登録日: 2017-07-18

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関節リウマチ(RA)の治療はメトトレキサート(MTX)や生物学的製剤などの普及により飛躍的に進歩した。一方,薬剤の長期連用による安全性の問題,医療費負担,医療経済の問題は未解決であり,国内外で喫緊の課題となっている。RAの治療は継続が基本であり,治療薬の減量や中止に関するガイドラインは国内外ともに存在しない。

わが国では,RRR研究やHONOR研究などにおいて,生物学的製剤による寛解導入後に,治療薬を休薬できる可能性を世界に先駆けて提唱してきた1)2)。同時に,発症早期であること,生物学的製剤による深い寛解を一定期間維持していること,ステロイドを使用していないこと,などが生物学的製剤休薬の条件であることもわかってきた。

ドラッグホリデーの可能性については,グローバルでも真剣に議論されるに至り,ガイドラインや治療アルゴリズムにも,患者と医師の協働的意思決定のもと,生物学的製剤の減量・中止が可能であるとされている3)

生物学的製剤の休薬による寛解維持は,その先にある薬剤フリー寛解,すなわち,病態の形成過程を制御すれば免疫異常をリセットして,原因は残ったままで治癒できる可能性をも示唆する。ドラッグホリデーという新たな治療体系を構築すれば,医療経済問題の克服にも資するはずである。

【文献】

1) Tanaka Y, et al:Ann Rheum Dis. 2015;74(2): 389-95.

2) Tanaka Y:Rheumatology(Oxford). 2016;55 (Suppl 2):ii15-22.

3) Schett G, et al:Ann Rheum Dis. 2016;75(8): 1428-37.

【解説】

田中良哉 産業医科大学第1内科教授

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